土岐さんショート

起業家のプロデュース事業が主力だった2022年11月、株式会社エニシャはSNSマーケティングをサポートする人材育成事業を開始しました。これが、数々の新規事業に挑戦してきた私の、直近の決断です。

自分ではまったく記憶にないのですが、小学校の卒業文集には、「将来はバリキャリになる」と書いていました。当時から社会に出てバリバリ働きたいと考えていたようです。

大学を卒業後、IT系のベンチャー企業に就職して企業のホームページ制作を担当。しかし、月の残業が200時間、社員はみんな会社に寝泊まりするようなブラックな労働環境でした。インターン時代を含めて約3年働きましたが、営業から企画、制作、事務処理まですべてを担当していたので、「これなら会社に所属せず、自分1人でもできるな」と気づき、退職を決めました。

そこから7年間はフリーランスとしてホームページ制作を請け負い、2010年に法人化。
プライベートでは結婚をして2人の子どもを出産したのですが、妊娠期間に切迫早産の危険があり入院。ベッドの中でいろいろな雑誌や本を読む中で、ふと気づいてしまったのです。「あれ、私いま幸せじゃないかもしれない」と。
自分にとっての本当の幸せを追求したいと考え、夫と話し合いを重ねましたが、価値観の違いを埋めることはできず、下の子どもが1歳のときに離婚を決意しました。

働きながらひとりで子育てをするのは大変なので、高知県から両親を関東に呼びよせ、近くで暮らすようになりました。家族5人を私が養うことになり、そこから会社の収入を増やしていくことを真剣に考えるようになりました。当時は、WEB制作の他にも、経営者同士を仲介するビジネスマッチングやお金のスクール、保険の販売代理業など、複数の事業を展開していました。

収入を高めるために新たに始めたのは、婚活事業です。「ハイスペ総研」という婚活塾で、ハイスペックな男性と結婚したい女性を対象にした4カ月の講座を立ち上げました。女性の受講生が男性に告白された確率は96%という実績を叩き出し、婚活塾はインターネットでのPR戦略によって年商1億3000万円の事業に育ちました。
プライベートではWEBマーケターの男性と再婚。夫と組み、婚活事業の実績を生かしてインターネットでのPRによって企業や製品をプロデュースする事業を始めました。

そして2022年11月、プロデュース事業に加えて、サポート人材を育成するビジネスを開始することを決断しました。企業のプロデュースをするにあたり、動画制作やデザイン、文章作成などを外部のサポーターに委託していたのですが、規模が大きくなるにつれて人手が足りなくなってしまったのです。
「だったら、自分でサポーターとなる人材を育てよう!」と考えて、「チームビジネスプロフェッショナル養成スクール(TPS)」を立ち上げました。TPSでは、在宅でデザインやライティング、請求処理や顧客管理などの事務、顧客サポートなどの仕事に携わりたい人を対象に、6カ月の講座を提供しています。
受講者のほとんどが女性で、子育て中の人や副業を望む会社員の方が多く、定年退職後の新たな仕事を開拓するために受講する人もいます。さまざまなジャンルの業務から、それぞれの適性に合ったスキルを身に着けられるので、卒業後にきちんと収入に結び付くのがTPSの特徴です。

スタートから2年強で受講生は150人を超え、サポート人材育成事業は会社の売り上げの6割を占めるまでに成長しました。仕事を抱え込みがちだった私も、この事業を通じて苦手な仕事は得意な人に任せて、チームで仕事を動かしていく大切さを学びました。強力なサポーターがたくさん育っているので、みんなと一緒にさらに会社を大きく成長させていきたいと思っています。

私は0から1を生み出すことが好きなタイプです。事業が大きく育ったら売却し、また新たな事業に挑戦する。こうして多くの事業を生み出してきました。新規事業創出において大事なのは、とにかく数を打って挑戦し、高速でPDCAを回していくことです。これからもチャレンジを続けていきます。

(構成/尾越まり恵)

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