
私の決断は、31歳のときにYouTubeで「大賀よかっちゃんねる」を開設したことです。
小学校時代は人前で話すのが得意ではありませんでした。しかし高校に入る頃にはパンクバンドを結成し、ドラム担当として本格的に活動を始め、ライブハウスで演奏したり音楽イベントや大会に出場したりするようになりました。高校3年生になるとバンドは喧嘩別れとなり解散。そのまま高校を退学しようかとも考えましたが、薬剤師だった母親の勧めもあり、大学のオープンキャンパスへ。当時流行していたテレビドラマ『オレンジデイズ』の大学生活に憧れたことや、ちょうど法改正前で薬剤師資格を4年で取得できる最後の年だったこともあり、大学進学を決意。福岡県内の大学で薬学部を卒業したのち国家資格を取得し、120年の歴史のある老舗・大賀薬局に新卒で入社しました。
1店舗目に配属となった調剤薬局では激務やスタッフになじめなかったことから、失意の底に沈みましたが、半年後に異動になると状況は一変。同僚とも仲良くなり、「辞めなくてよかった、結局大事なのは人間関係だ」と思うようになりました。その後は複数の店舗をまわり、9年間で50店舗を経験。新店舗の立ち上げにも携わり、店長も歴任。採用活動にも携わるようになっていました。
そんな2018年、薬剤師も情報発信していくべきだとの社長の考えから会社のYouTubeチャンネルを開設することに。「YouTubeの企画あるけど、やるよね?」という社長の鶴の一言の前に「やります!」と即答しました。実は薬剤師には患者さんからの指名制度があるのですが、自分は全120店舗の中で100人以上の患者さんに指名をいただいており、大賀薬局指名ナンバーワン薬剤師でもありました。飲み会でも盛り上げ担当で、採用のお手伝いもしている。社長の期待に応えたいという思いもあり、情報発信をするなら自分が適任だという自負もあったのです。
こうして店長を兼任しながらYouTuberとして毎日企画を考えて動画を撮影し、投稿するという生活が始まりました。はじめは撮影担当や編集担当もいましたが、次第にそれらも内製化するように。休日を利用して撮影に挑み、企画出し、台本制作、撮影まですべて1人で担当。撮影日は朝8時から夜9時まで1日中撮影して動画を撮り貯める日々でした。
YouTubeでは薬剤師の仕事内容や正しい薬剤知識について、薬剤師の「あるある」ネタなどの発信の他、会社紹介、設備紹介、新店舗紹介、商品紹介などさまざまな企画で投稿。「歌ってみた」の企画を音楽学校から評価されたのをキッカケに薬剤師の日常を描いた楽曲「裸でも薬剤師」をリリースし、ライブイベントを成功させることができました。薬の飲み残しによる「残薬問題」に立ち向かう福岡最強のヒーロー・薬剤戦師 オーガマンの地域活動のMCも担当。慣例にとらわれない柔軟な発想でさまざまな企画を実現してきたので、社内外からはさまざまな反発もありました。ありもしない嘘を広められたり、30分以上のクレーム電話を受けたり。それでも応援してくださる方を信じてやってきましたし、たくさん経験してみたからこそ「無謀だと思っても将来性があり、やるべきもの」が見えてきました。
現在、大賀薬局内のエンタメのジャンルはほとんど自分が担当しています。ファンの方が喜んでくれたり楽しみにしてくれたりすることはとてもうれしく、社長も「楽しいことをやっていこう! エンタメを使って会社を大きくしていこう」という考えの持ち主。その原動力で恐れず挑戦してきたからこそ、イベント専業で食べていけるだけのノウハウも貯まってきました。
今後は、これまで築いてきた実績をもとに、他県への小・中学校出張授業や講演活動を拡大し、地方の薬局や教育機関との連携を強めて「地域に必要とされる薬剤師像」を可視化・モデル化する事業にも注力していく予定です。将来は、福岡で毎年開催されるような大きな医療×エンタメフェスも仕掛けていきたい。動画・SNS・イベント・出張授業などを通じて、医療とエンタメを掛け合わせ、薬剤師のタレントを中心とした「医療系タレント」が活躍する未来をつくっていけたらと思っています。
(構成/岸 のぞみ)株式会社大賀薬局 ホームぺージ
大賀よかっちゃんねる YouTube







