森下さんショート

10年間の専業主婦を経て、39歳のときに有限会社そーほっとを立ち上げました。

広島で生まれ育ち、結婚を機に東京へ。当時、多くの女性がそうであったように、専業主婦となり、子どもを産み育てるものだと思っていました。しかし、結果的に私たち夫婦には子どもはできなかった。編集者の夫は多忙を極め、夜遅くにしか家に帰って来ない。本を読み、美術館に足を運び、歌舞伎を見て、その感想を友人と手紙でやりとりする。そんな充実した毎日を送っていました。

10年ほど経ったとき、知人に紹介され、三鷹市の臨時職員として働くことになりました。ワクチン接種の案内送付など事務作業を担当後、当時、自治体が運営するシェアオフィスとして日本で先駆けて開設された、「三鷹市SOHOパイロットオフィス」の受付を任されることに。「IPアドレスを教えてください」と入居者に質問されても、答えられない。浴びせられる非難の目。幸せな専業主婦として暮らしてきた私にとっては、衝撃的な体験でした。

そこから、わからないことは質問して、利用者とも積極的に関わるようになった私に、新たな世界が待っていました。起業家たちとの会話は楽しく、知らない世界を知ることに好奇心が満たされていった。
もっと、忙しい起業家たちの役に立ちたい!
上司に相談すると、「自治体としてはできないけれど、個人として勝手にやるのは構わない」と言われます。そこで、受付の仲間たちと一緒に、起業家を支援するチーム「そーほっと」を結成。最初は入居者の方の会社の一部門としてお世話になり、実績ができた3年後に会社を立ち上げ独立しました。

いまは、三鷹市のほか、新宿区でも創業支援事業を受託。高田馬場でコワーキングスペース「CASE Shinjuku」の運営もしています。高田馬場には、渋谷や六本木のような華やかさはないけれど、地に足をつけてビジネスをする堅実な起業家が多い。創業の街として高田馬場を発信していきたいと思っています。

起業した後、見上げた空が高く、晴れ渡っていた。自分の行動に責任を負い、意思決定していけることは気持ちのいいことだと思いました。
まったく知らないビジネスの世界に飛び込んだ私ですが、不思議と、専業主婦時代のインプットと、ビジネスの刺激とが融合されていくような感覚がありました。10年間は、決して無駄ではなかった。起業後は仕事に時間を割いてきたので、これからはまた、インプットをする時間も確保していきたいと思います。

有限会社そーほっと ホームページ
運営メディア 高田馬場経済新聞
CASE Shinjuku ホームページ

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