恋人・夫婦仲相談所所長 三松真由美さん

恋人・夫婦仲相談所所長 三松真由美さん

三松真由美さんが立ち上げたママサークルは全国に1900人ものママ会員を集め、企業からも注目される存在になった。ビジネスとして活動していくため、真由美さんは法人化を決意する。しかし、経営の知識も経験もない。ビジネスの厳しさを痛感しながらも、真由美さん流のやり方で、会社を軌道に乗せていく。第2回では真由美さんが起業に踏み切った理由と、経営者として大事にしてきたメソッドを紹介する。

家庭も育児も両方大事
ママになっても自分らしく生きる

 ママたちを集めたサークルB・B・B(ベイ・ブリッジ・ベイビーズ)。そもそも、専業主婦だった真由美さんは、なぜサークルを始めようと思ったのだろうか。

 「寂しかったんですよね。医師の夫は忙しくて、夜も土日も家に帰ってこない。当時、幼い子どもの育児に私が1人で向き合っていました。しかも、私の実家は島根県で、結婚とともに東京に出てきたために、周囲にママ友もいない。すごく寂しかったんです。当時『密室育児』という言葉が社会的にも問題視され始めた時代でした。朝ごはんも昼ごはんも、夜ごはんも赤ちゃんと2人きり。誰とも話さない日が続き、とにかく寂しかったですね」

 真由美さんは島根県で生まれた。母親は旅館の女将で、忙しく働く後ろ姿を見て育ったという。奈良教育大学に進学後、奈良で中学校の英語教師として数年働いていたときに元夫である医師の男性と知り合った。結婚を機に上京する。
「当時、三高(高学歴・高収入・高身長)という言葉があって、そんな夫と結婚した私は、夢が叶った! と思っていましたね。これが理想の結婚だと信じていました」
しかし、結婚生活は孤独だった。慣れない都会でたった1人。寂しさに押しつぶされそうになったとき、眺めていた女性誌にママサークルの記事を見つけた。

 「すぐにそのサークルに参加させてもらいました。そうしたら、楽しかったんです! 私と同じ4カ月のベビーを持つママたちがたくさんいました。子育ての悩みを話すと、気持ちが上向きになりますよね。育児が密室ではなくなりました。このママさんサークルのノウハウをスポンジのように吸収し、蓄積しました。そして、私、これ作れるな、と」

 自分自身でサークルを立ち上げることを決意。「赤ちゃんにスポットを当てるのではなく、ママ側にスポットを当てる」。これが真由美さんの考えたコンセプトだった。

 当時のB・B・Bのパンフレットには、会長である真由美さんのこんな思いが記されている。

 「小さい子供がいる主婦が、子育てに専念し家庭を守ることは大事です。でも、子供の手が離れたとき、これから何を始めようかと悩むのは嫌。再就職・趣味・起業、何かをしようと考えている女性は子育て中でも世の中の動きに敏感でなければならないし、情報も人脈も偏らずにつかんでおかなければならないと思います。その期間にできる範囲でいいから、ちゃくちゃくと準備をする。このコンセプトで我をとおしたB・B・Bは、反対意見なんてなんのその、マスコミに出るたびにファンを増やしてきました。
『家庭も子供も大事。けれども自分を見失いたくない』
B・B・Bのコンセプトはそんなにわがままなことですか?
退屈よりも刺激が好き!!


 30年経ってもまったく色あせないメッセージだ。時代が変わっても、子育て世代の女性が抱える思いは変わっていないのだろう。
恋人・夫婦仲相談所所長 三松真由美さん

B・B・Bのパンフレット。真由美さんの「ママたちを元気にしたい」という思いが伝わってくる。日本地図のイラストから全国に支部があることを表している


資金を得るための起業家コンテスト
「バランスシートは読めますか?」

おすすめの記事