金山晴美

ジュエリーが苦手だった私が、オーストラリア移住を経て、自身のジュエリーブランドを立ち上げたこと。これが人生の決断です。

もともと飲食や雑貨、インテリアに興味があったため、学校卒業後は輸入雑貨を取り扱うF.O.B COOPやAfternoon Tea TEAROOM等で働き、26歳で幼なじみの彼と結婚。2児の母となりました。子育て期間は夫の仕事を手伝っていましたが、もともと海外移住に興味があったことや子どもに語学を学ばせたいと考えていたこともあり、2007年、オーストラリアへの移住を決めました。

といっても何か大それた計画があったわけではなく、1カ月ほどでばたばたと詳細を詰めて決行したオーストラリアでの移住生活。子育てをしながらも何かビジネスにつながるようなものがないかと模索する日々でした。しかし学歴も職歴もない自分自身に悩み、自己肯定感は下がってく一方。そんなさなかに出会ったのが、ブリスベンにあるオパール専門のジュエリーショップでした。

私はもともと手にコンプレックスがあったのでほとんどジュエリーを身に着けたことがありません。それどころか婚約指輪や結婚指輪でさえ「何でもいい」と5分で決めてしまったほどでした。そんな宝石とは無縁な私が3歳と5歳の子どもを連れて散歩していたある日、ふと目に入ったのが、商店街の一角にあったそのジュエリーショップだったのです。表通りからガラス張りの店内が覗いていて、そこにいままで見たことのない石が輝いているのを見つけました。オパールは角度を変えるだけで輝きを変える不思議な天然石で、1㎝形成されるのに500万年もかかるという希少石。私はその日からオパールに魅了され、家に帰ってからもオパールについて調べては店舗で石を観察し、ついに何度目かの来店でオパールのネックレスを購入するほどにこの世界に引き込まれていきました。思えばオパールは、幼いころに砂浜で集めていたビー玉の不思議な輝きにも似て、私にはその当時のときめきが思い出されてこれほどまでにはまってしまったのかもしれません。

少しずつオパールをコレクションするようになり、趣味が高じて数も増えていったある日、もっといいオパールを買うためにもともと持っていたコレクションを少しずつ販売して購入資金に充てようと決意。これがオパールを販売するようになった最初のきっかけとなりました。次第に、卸売業者から直接仕入れるほうが良品を安く仕入れられる、と考えるように。しかし卸売業者から仕入れるにはそれなりのロット数を購入する必要があり、資金的にも難しいものがありました。そこでより源流に近いオパール鉱山を探しに行こう、と心に決め、鉱山のある街に出向き、道行く人や町のパン屋さんなどで「どなたに言えば鉱山に入れるのか」を聞いて回り、ついに鉱山への入山方法を探し当てることに成功しました。

鉱山でオパールの仕入れに成功すると、日本でも広めたいと強く思うように。その思いが高じて2017年、オパールとカラーストーンを取り扱うジュエリーブランドMARUU(マルウ)を設立しました。ファンとともに作り上げた「ブーケリング」シリーズはインスタライブで好評を博し、2021年冬の発売から累計約300本の販売に成功。102歳の手モデルを宣材写真に起用して話題を集めるなど、ビジネスとしてもうまく軌道に乗せることができました。現在はECやPUS(ポップアップストア)を中心に展開し、利益率も大幅に改善。今後もオパールやカラーストーンの魅力を広めるべく、まい進していきたいと思っています。


天然石アクセサリーショップ MARUU
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