美甘子さんショート

36歳で結婚し、すぐに不妊治療を始めることを決意。妊活は4年半に及びました。

私が生まれ育ったのは、広島県と愛媛県を結ぶ、しまなみ海道に位置する大三島(おおみしま)。この島には日本総鎮守(そうちんじゅ)と言われる「大山祇(おおやまづみ)神社」があり、子どもの頃から日本の歴史に関心を持つようになりました。

新卒で入った会社を辞め、芸能活動を始めた20代後半、たまたま三国志のトークイベントに参加したことをきっかけに、歴史関連の仕事が増えていきました。新聞では「歴ドル」(歴史アイドル)と紹介され、同時期に「歴女ブーム」が巻き起こります。ピークはNHKの大河ドラマで『龍馬伝』が放送された2010年。テレビやラジオの出演、雑誌のコラム執筆、地方のイベントへの参加など、歴史関係の仕事をたくさんさせていただきました。

2018年に結婚したときには、「歴ドルとしてやりたいことはやり切った」という思いが強かった。「この先の人生は、ずっと望んでいた子どもを産み育ててみたい」と考え、妊活をスタート。夫とともに病院で検査を受け、どちらも大きな問題はありませんでしたが、私の卵巣年齢が実年齢よりかなり高く、残りの卵子が少ないことがわかりました。

タイミング法のあとすぐに人工授精に移り6~7回チャレンジしたけれど妊娠せず。体外受精を始めますが、採卵してもほとんど卵子が採れません。一度、妊娠反応が出たものの、心拍確認後に稽留(けいりゅう)流産してしまったときは、さすがに悲しくてつらくて大泣きしました。
でも、それは希望にもなった。

――私は妊娠できる体なんだ!

途中で一度だけクリニックを変えて、2022年に17回目の採卵で妊娠。しかも、移植した2つの凍結胚が両方とも着床し、双子だとわかりました。
「また流産してしまうのでは……」という不安が大きかったので、安定期に入り妊娠が継続できたときには、ほっと一安心。2023年3月に無事に出産することができました。

あまり思い悩まない性格ではありますが、4年半の不妊治療はやはり大変でしたし、自分でも「よく頑張ったな」と思います。私の場合は特に、採卵しても卵子が採れなかったので、「スタートラインにも立てない」とすごく落ち込みました。そんなときは大好きな韓国ドラマを見たり、コーヒーを解禁したりして気分転換をしていました。不妊治療中の人や治療を乗り越えて出産した人とSNSでつながったり、雑誌で経験談を読んだりすることも心の支えになりました。

これからちゃんと子どもを育てていけるだろうか……という新たな不安が生まれていますが、夫と一緒に楽しみながら育児をしていきたいと思います。

※稽留流産:出血や腹痛などのいわゆる流産の徴候はないものの、お腹の中で胎児の発育が停止(流産)している状態
※凍結胚:受精卵を発育させた胚を凍結しておいたもの

(撮影/Holidays Photo Service)

美甘子 Twitter

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