岩井さんショート

私の決断は、結婚後20年間の専業主婦を経て、50歳で仕事を始めたことです。そこから、人生が大きく転換していきました。

短大を卒業後、銀行の一般職として就職。結婚が決まったのと同時に退職し、30歳から専業主婦になりました。銀行の同僚だった夫のフィリピン駐在に連れ添い、一時海外生活も経験。その後、夫はネットバンクへの転職を経て、現在代表を務めるヒーズを起業します。その間、私はパートに出ることもなく、仕事はまったくしていませんでした。私たち夫婦には子どもがいないので、周囲からは「毎日何をしているの?」「暇じゃないの?」とよく聞かれましたが、まったく退屈だと感じたことはありませんでした。子どもの頃から歌が好きだったので、音大の社会人向けのコースに通ったり、ただ自分の好きなことをしながら生活していたのです。

そんな毎日がずっと続くと思っていた50歳のある日。夫が日ごろからお世話になっている方がマーケティングとコーチングを同時に学べる講座をスタートすると聞き、単純に「面白そうだな」と思って受講することにしました。人生で初めて受けた研修が、1泊2日の合宿研修。参加者に専業主婦なんて1人もいません。
1日目の宿題は「明日までに自分の『ミッション』と『ビジョン』を考えてきてください」というもの。わからなすぎて、「どうしたらいいの?」と夫に電話で泣きつきました(苦笑)。

ただ、主婦の感覚がマーケティングにつながる部分もあり、その研修がすごく面白かったんです。コーチングも自分の気質に合っていたと感じました。そこで本格的にコーチングとマーケティングを習得。私も教えてみたいと考え、夫の会社の新規事業としてスタートしました。いまはさらに進化して、企業やフリーランスに向けて、プロファイリングやPR、コンテンツ制作などを含めたブランド構築を支援しています。人と向き合うブランド構築の仕事は、年を経たいまの自分だからこそできることも多いと感じています。

仕事を始めたことで、プライベートも大きく転換していきました。53歳のとき、仕事を通じて音楽プロデューサーと知り合い、「一度ライブで歌ってみない?」と誘われ、自分へのご褒美のつもりでステージに立ちました。そこからなんと「本格的に音楽活動をしないか」と誘われ、一度は断ったものの、その後も何度かライブの機会をいただき、「やってみよう!」と決意。56歳でオリジナル曲のCDを発売し、自分が作詞した曲は30曲を超えました。今年5月の私の誕生月には還暦ライブを開催し、演奏してくださるバンドメンバーやたくさんのお客様に囲まれ、とても幸せな時間を過ごすことができました。

30代、40代の頃は、自分がこんな50代を過ごすなんて想像もしていませんでした。本当に、人生何があるかわかりません。前に進むタイミングではためらう気持ちもありましたが、私の場合、「やってみたい」「楽しそう」という感情の方が勝ったのだと思います。
目標は、生涯現役。私が大事にしている「お(おもしろくする)も(もりあげる)て(てをかける)な(なごませる)し(しあわせにする)」の精神をベースに、仕事も歌も、ずっと続けていきたいと思っています。

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