尾山さんショート

28歳でテニスプレーヤーを引退し、その2年後にフライパン販売業での起業を決意しました。

中学校からテニスを始め、高校では本気で全国大会を目指しました。しかし、結果は地区予選敗退。親の勧めもあり大学まで進学したものの、テニスとの両立が難しく、中退してテニスに専念することに。
大学を中退した後は、テニス選手として試合に出ながら、インストラクターのアルバイトをして生計を立てていました。しかし、思うように結果の出せない日々が続きました。
27歳のとき、「来年を最後の1年にしよう」と決意。本気で練習し、全日本選手権を目指しましたが、その夢は叶いませんでした。
――こんなに頑張ってもダメなのか……。
失意の中、28歳でテニスをやめました。

もともと飽きっぽく何をしても続かなかった僕が、テニスだけは長く続けられた。その理由は、シンプルにテニスが好きだったからです。テニスが人生のすべてだった僕は、生きる目的を見失ってしまいました。知り合いのつてで安定した企業に就職できたものの、特にやりたいことも見つけられず、ただただ毎日を過ごしていました。

でも、1年が経ち、少しずつ、仕事にも慣れ始めたときにふと疑問に思ってしまったのです。
「僕の人生、このまま終わっていくのか……?」
そんなとき、1人でふらりと映画を観に行きました。エンドロールが流れ始め、「ここに名前が流れている人たちは、本気でこの映画を作ったんだろうな」と思った瞬間に、涙が止まらなくなりました。

――自分はいま、本気で生きていないな。もう1回、何かに本気になりたい。

そこから、自分が本気になれるものを探し始めました。まずは自分の力で稼げるようになろうと副業を始め、プログラミング、ブログ投稿、動画編集などあらゆるものを試しました。その中でたまたまEC販売の仕事にたどり着き、日用品を中心に自分で仕入れて販売するとすごく売れたんです。結果が出ると楽しくなって打ち込み、2021年7月に会社を辞め、独立を決意しました。

起業するからには、オリジナル商品を売りたい。最初のプロダクトは、これまでさんざん心配をかけた母親に向けて作ろうと決めました。そうして出会ったのが、フライパンを作る工場でした。
しかし、実績も資金もないフリーランスの僕は、まったく見向きもされません。それでも諦めずに熱意を伝え、何度もクラウドファンディングを提案し、ようやくフライパンの開発と販売を承諾していただきました。クラウドファンディングで資金を集め、2022年2月に商品化したのが「SURUTTO(スルット)」です。特許技術であるフッ素加工の特殊コーティングにより、新品のような“するっと感”が長続きするのが特徴です。

このSURUTTOのブランドで、日本で一番多くの人に感動を届けられるフライパンを目指します。そして、僕の人生が1つの映画をきっかけに変わったように、このフライパンが、誰かの一歩を踏み出すきっかけになれたら嬉しいです。

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