『UUUM（ウーム）を卒業、タレントとして生きていく』なみき　ゴルフタレント

2020年12月、新卒で入社した、YouTuberのマネジメント等を手掛けるUUUM（ウーム）から独立し、タレントとして生きていくことを決断しました。

生まれは兵庫県宝塚市。シャイな性格で人前に出るとすぐに顔が真っ赤になるような子どもでした。でも、幼稚園の頃にモーニング娘。さんに憧れ、「人前に出る仕事」をしてみたいと漠然とした思いを持つようになりました。

音楽が大好きで、育った環境的にも宝塚歌劇団の舞台を見る機会が多く、宝塚の養成スクールに通った時期もあります。でも合格できるのはほんの一握り。母の勧めもあり、宝塚音楽学校は受験せず、東京の大学に進むことにしました。


大学時代に少しアイドルのような活動をしていたのですが、事務所に所属していたわけではありません。就職活動のタイミングで、夢を追ってタレントになるのか、一般企業に就職するのか、進路の選択に悩みました。
化粧品メーカーや航空会社など、一般企業の就職活動もチャレンジしましたが、なかなかうまくいきません。当時の私は、自己PRなど、自分について話すことが苦手だったのです。

そんなときに、たまたまアイドル活動で出会った知人に、「UUUM GOLF-ウームゴルフ-」というゴルフのYouTubeチャンネルが立ち上がるので、そこのMC（番組進行）をやってみないか、とお声がけいただきました。しかも、UUUMの社員として入社できるとのこと。
正社員として安定した生活の中で、MCの仕事ができる。私にとってはとてもありがたいお話でした。

面接では「いずれ独立してタレント活動をしていきたい」と伝えたことを覚えています。2018年当時、私はUUUMという会社の存在を知りませんでしたし、唯一知っていたYouTuberの「ヒカキンさんがいるところだ！」という程度の知識しかありませんでした。何もわからないからこそ、先入観なく飛び込めたのだと思います。
こうして、私の社会人人生がスタートしました。

未経験で始めたゴルフ
頑張れたのは応援のおかげ

UUUM GOLFのMCを引き受けたものの、ゴルフは未経験。子どもの頃から音楽が生活の中心だったため、スポーツに打ち込んだ経験はありません。
「プレイヤーではなくMCだし、自分にもできるはず」
そう軽く考えたことが、とんでもない間違いだったと気づくのに時間はかかりませんでした。
ゴルフの基礎知識もなければ、専門用語もわからない。MCとしてまったく話すことができず、はじめのうちはほとんど動画に出させてもらえませんでした。

「頑張ってゴルフを覚えよう！」と、猛練習を始めます。チャンネルを通して出会うプロのゴルファーさんにお話を聞いたり、ゴルフの本を買って読んだり。技術面では、毎日、港区の外苑前にあった打ちっぱなしに通っていました。
朝、始業前に勉強して、9時から19時まで一般業務をこなし、そのあと打ちっぱなしでゴルフの練習。体を鍛えるためにジムにも通いました。入社1年目は、友達と遊びに行った記憶がほとんどありません。ひたすらゴルフ一色でした。


見た目には簡単そうに見えていたゴルフでしたが、実際にやってみると、もう、めちゃくちゃ難しい！　
最初は全然できなくて、「これ、自分には無理だな……」と何度も心が折れそうになりました。
それでも諦めなかったのは、「自分に負けたくない」という思いがあったから。
できないことが悔しい。もっとうまくなりたい。MCの仕事で成功したい。チャンネル登録者数を伸ばしたい。
そんな思いが、ゴルフを続けるエネルギーになっていたのだと思います。

そして何よりも、応援してくださる視聴者さんのコメントに助けられました。
「頑張ってね」「応援してるよ」というコメントがつくたびに、「もっと頑張ろう」「見てくださっている方がいる」と思って、練習を続けることができました。

ゴルフチャンネルなので、視聴者のほとんどがゴルフの経験者です。
はじめのうちは「なんでこんな初心者がMCなの？」「この子で大丈夫なの？」といったコメントも多く、申し訳なさと悲しさでいっぱいでした。
でも、少しずつ応援のコメントが増えてきて、期待されていること、求められていることが励みになっていきました。


立ち上げから携わったUUUM GOLFは、3年間でチャンネル登録者数60万人ほどのチャンネルに成長しました（2023年6月現在は83.5万人）。
入社からの3年間をがむしゃらに走り抜けた私は、少しずつ「次のステージに進みたい」と考えるようになりました。

――社員として働きながら活動するのではなく、独立して本格的にタレントの仕事にチャレンジしてみたい。

2020年12月、3年間務めたUUUMからの卒業を決めました。

新しいチャレンジの場として
「なみきゴルフ」を開設

UUUMを退職することには、大きな葛藤がありました。ご縁があり育てていただいた感謝もありますし、応援してくださった視聴者さんと離れるのも寂しかった。何より、UUUMゴルフは、私にゴルフの楽しさを教えてくれた場所です。

友達やUUUMを紹介してくださった知人、同僚などいろんな方に相談しながら、半年くらいはずっと悩んでいたと思います。
最終的には、「あなたの人生なんだから、自分を信じて進みたいと思う道を行きなさい」と言ってくれた両親の言葉が背中を押してくれました。

ちょうどそのタイミングで、念願だったゴルフのスコア100切りも達成！　そのことも、決断の後押しとなりました。

――悲しいけれど、この感情も将来の成長のために必要なものなんだ！

自分にそう言い聞かせ、一歩を踏み出すことにしました。

独立後の活動フィールドとして、私はまたゴルフを選びました。
「私に求められているものは、やっぱりゴルフだ。ゴルフをやらなきゃ始まらない！」と考えたからです。

UUUMの承諾も得て、2021年1月、YouTubeチャンネル「なみきゴルフ」を開設。その1本目の動画で、自分の言葉で視聴者の皆さんにUUUMからの独立を報告しました。

――きちんと伝わるだろうか、誤解を生まないだろうか……。

7分ほどの短い動画ですが、事前にいろんな人に見てもらい、細かいニュアンスを修正しながら、何度も何度も撮り直しました。

動画をアップする瞬間は、「皆さんにどう思われるのだろうか……」というドキドキと、「ここから自分のチャンネルを持ち、動画をアップしていく毎日が始まるんだ！」という緊張感でいっぱいでした。

ゴルフとの出会いで人生が一変
「一期一会」を大事にしたい

「なみきゴルフ」を立ち上げて2年半。いまはゴルフをプレイするために、国内外を飛び回る毎日です。スコアは80台後半を記録することができました。
やっぱり私は、ゴルフが大好きです。まだ決してうまくはない私ですが、たまにすごくいい球が出ることがあり、その瞬間の快感がゴルフの最大の魅力だと感じます。
「またこのいい球が出るんじゃないか」と思って、癖になっていく。

ゴルフは年齢も性別も関係なく、どんな人でも楽しめるスポーツです。ゴルフを通して人とのつながりもたくさん増えました。
ゴルフのメイン層は年配の男性というイメージがあるかもしれませんが、最近は女性も多いですし、若いカップルなどもいます。「なみきゴルフ」の視聴者層も少しずつそういった方向に変化しています。

今後のスコアの目標は、80台前半！　活動としては自分自身が中心になってプレイをするよりも、より自分が得意とするMCとして番組を回していく仕事を増やしていけたらと思っています。

もう1つの目標は、大好きな音楽の仕事をすること。ゴルフをメインに活動することは今後も変わりませんが、音楽の分野でも活動していければと思っています。実は、2月には念願の歌手デビューをさせてもらったんです。ゴルフのスイングはリズム感が大事で、それは少し音楽とも通じるものがあるような気がします。これからは大好きなゴルフと音楽をうまく融合していけたら理想的だなと思っています。


私はこれまで「一期一会」という言葉を大切に生きてきました。改めて、縁と運に恵まれてきた人生だと思っています。

人生を左右するような決断をするのは、難しいことです。でも、決断に迷うということは、何かしら自分で変わりたい、動きたいと思っている証拠だと思います。人との出会いも、自分の感情が動くことも、すべて偶然ではなく必然的なチャンス。全部必然だと思って、1つ1つの関わりを大事にしてきた結果、私はいまここにます。
一期一会を大切にしていれば、きっと、いい方向に進んでいく。そう信じて、これからも大好きなゴルフを続けていきます。

（文／尾越まり恵、写真提供／ホリプロ）