幼少期から長くクラシック・バレエを続けてきた小島かおりさんは、25歳で「バーレスク」と呼ばれるショーダンスと出会う。バーレスクを踊ることで、かおりさんは「これまで嫌いだった自分の体を受け入れることができた」という。後編では、かおりさんのバーレスクダンスを形作るものは何なのか、バーレスクダンサーになった決断をいまどう感じているのか、紹介していく。
男性と女性……日々揺れ動く性自認
新宿・歌舞伎町のショースペース「AFTER PARTY TOKYO」で踊るバーレスクダンサーの小島かおりさんは、1988年、埼玉県大宮市で生まれた。「お転婆な子どもだったと思います。黒板に落書きしている男子に飛び蹴りをしたりしていました(笑)」
小学生の頃、弟が剣道の練習に行っている間に家で1人、かおりさんは漫画やアニメを見て過ごしていた。そこで出会った『セーラームーン』は、たびたびかおりさんのダンスのテーマとして登場する。
「『るろうに剣心』や『スラムダンク』、あとは『らんま1/2』が大好きでした。らんまには女の子のヌードシーンがよく出てくるのですが、全然いやらしくないんですよね。かわいいな、すごい好きだな! と思いました。しかも、らんまに出てくる女性たちは、ただ男性に守られるだけではなくて強いんです。そんな女性像にも惹かれました」
かおりさんが人生ではじめて出会ったダンスは、クラシック・バレエ。バレエという言葉すら知らない、それが何であるかもわからない状態で突然「バレエをやりたい!」と言い出し、4歳から大人になるまで習っていた。
彼女は自身のセクシャリティを「Xジェンダーのパンセクシャル」であると説明する。
「Xジェンダーというのは、男性にも女性にも属さない性自認を持つ人のことを言います。自分がどのカテゴリーにいるのか不明なので『X』と言われています。私の場合は、日によってガーリッシュ寄りだったりボーイッシュ寄りだったりして、常に性別が揺れ動きます」
性的指向はパンセクシャル。「パン」とは「すべて」という意味を持ち、男性、女性、どちらにも属さない人、そのすべてが恋愛対象だ。
「性別に関係なく、あなただから好き、というような恋愛感情を持ちます。実際、これまで好きになった人は、男性も女性もいます」