今井真希

私は、チーズを作るおばあちゃんになる!
薪(たきぎ)を起こしながらチーズを作るスイスのおばあちゃんのドキュメンタリーを観て、いたく感動した私。高校3年生でチーズに人生を捧げることを決めました。

早速チーズに関する文献を読み漁り、「チーズってこんなに種類があるんだ!」と感動する日々。しかし、知れば知るほど奥深いチーズの世界に「チーズを作るためにはチーズのことだけ知っていてもだめだ!」と一念発起。「私は牛を飼うところから始めるんだ!」と地元・青森を離れ、帯広畜産大学畜産学部酪農科学科に進学しました。早朝5時に起床し、牛舎で搾乳。日中はチーズの歴史や文化について学び、夕方16時にまた牛舎へ。搾乳し、餌をあげ、寝床を清掃します。牛とチーズ漬けの大学生活を送った私は、大学卒業後も当然チーズを専門に扱う会社に就職したいと考え、当時新卒採用もやっていなかったチーズ商社・フェルミエの本間るみ子氏に直接手紙を送りつけました。
「何でもやるから入社させてほしい!」
手紙の熱意を買われて無事入社。雑用から始めて社員になり、都内の小売店統括も担当しました。

出産を機に7年間勤めたフェルミエを退職すると、チーズに関するセミナー講師業やナチュラルチーズのポップアップショップを展開。2017年には神奈川県の武蔵新城に念願の自分のお店をオープンしました。チーズの量り売りと、量り売りで端材となってしまうチーズを使った料理を提供する「fromage&food mikoto」は近所の主婦の間で話題となり大盛況。2022年8月からはチーズ好きが高じて北海道壮瞥(そうべつ)町に移り住み、夫と仲間とともにナチュラルチーズと自然派ワイン、コーヒーが軸のヨツカド商店を開業しました。

チーズは日々変化して、ミルクと塩だけであんなに素敵な食べ物になる。大学進学時には高校初の畜産大学進学ということで親は元より学校中がざわつきましたが、自分の直感を信じてよかった。その後も思いを貫いたからこその今があるのだと。

1本のドキュメンタリーから始まったチーズ作りへの道。チーズを作るかっこいいおばあちゃんになるまで、私のチーズ人生は続いていきます。


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