ハムネーショート

52歳のとき、会社員を続けながらBAR経営にチャレンジすることを決めました。

北九州市の小倉生まれ、小倉育ち。ソフトボール、ハンドボール、野球とスポーツが好きな少年でした。高校を卒業後、18歳から24歳までの6年間だけ北九州を離れて広島で働きましたが、それ以降はずっと地元の北九州で仕事をしてきました。

50代になり定年が近づいたときに、「60歳以降、自分はどうやって生きていこうか」と考えるようになりました。今後、年金の受給年齢は上がっていくかもしれない。60歳を過ぎても自力で生きていく力が必要になる。自分に何ができるだろうかと考えたときに、思い浮かんだのが飲食の世界でした。食べるのが好きで、よく外食をしたりお酒を飲んだりしていたんです。
「飲食業にチャレンジしてみよう!」と決意したのは52歳のときでした。本業がフレキシブルな働き方が可能だったため、定年まで会社員は続けながら、最初は知人と共同経営でBARをスタートしました。

2年後の2023年2月にはお店を知人に任せ、北九州市のJR小倉駅からほど近い飲み屋街、堺町に単独で「BAR HAM(ハム)」を立ち上げることを決めました。
今度は自分1人ですべてを決めていかなくてはなりません。まずは物件探しからスタートです。自分が納得できる物件に出会えるまで、何軒も何軒も回りました。大事にした基準は、自分やスタッフの動きがイメージできること。
そうしてようやく、いまのHAMの物件に出会うことができました。カウンターが10席と4人掛けのテーブルが2つの計18席。居ぬきで内装だけ手を加えました。
内装を考えながら歩いていたときに、たまたまトヨタ自動車のレクサスが目の前に止まっていたんです。ブラックのシートを見て「これだ!」と思い、HAMの店内は黒を基調に、シックな内装に仕上げました。内装はシックですが、雰囲気はアットホームに。飲んで歌って、朝4時まで元気に営業しています(笑)。

2025年には2軒目となる「BAR NOIR(ノワール)」をオープン。こちらはカウンター9席だけの小さなお店です。HAMとは雰囲気を変え、女性スタッフがバーテンダーの制服を着て接客します。店内はHAM以上に高級感を持たせていますが、女性も入りやすく、リーズナブルな価格設定が特徴です。

飲食の世界に飛び込んで6年。振り返ってみて、「挑戦して良かったな」と思っています。50歳を過ぎても、新しいチャレンジはできる。大事なのは、焦らずコツコツ続けること。最初はわからないことがあって当たり前なので、知らないことはその都度勉強し、学べばいい。とにかく一生懸命頑張っていれば、そのうち結果はついてくることを実感しています。
飲食業はどうしても職業として下に見られがちですが、実際に働いてみて、「飲み屋の仕事は捨てたもんじゃないな」と思っています。いろいろなお客さんと毎日接することで刺激をもらい、それが若さを保つ秘訣になっています。バーカウンターの中からお客様の笑顔を見た瞬間に「この仕事を選んで良かったな」と思います。

8月には、3軒目となる「韓国料理店ハム家 誠」をオープンしました。はじめて、お酒メインではなく、料理を中心に提供するお店にチャレンジしています。今後も、いろいろな料理スタッフと組みながら、BAR以外の飲食店にも挑戦し、大好きな小倉の街を盛り上げていきたいと思っています。

(構成/尾越まり恵)

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