村本さんショート

新卒から13年間勤めたサントリーを退職して2018年に起業。ブランドマネージャーとしての経験を糧に、新たな道へと踏み出すことを決断しました。

商品開発の仕事に憧れてサントリーに入社。営業を経て4年目に念願の商品開発の部署に異動になりました。
転機となったのは、ブランドマネージャーとしてはじめてゼロから商品開発に携わった「The O.N.E」というアルコール度数1%のお酒。これこそ心をほぐす究極の嗜好品だとパッションを持って開発したのですが、まったく売れずに即終売。多額の赤字を出してしまいました。
「次は失敗できない」と思いつめ、それまでただ楽しかった商品開発が強いプレッシャーへと変わっていきました。仕事でうまくいかないイライラを、家庭で子どもにぶつけてしまう。カッコいい働くママになりたかったのに、思い描いていた理想とどんどんかけ離れていく。
――どこでボタンを掛け違えてしまったのだろう……。

「商品開発には向いていないかもしれない」と考え、第2子の育休中に育休インターンに申し込み、はじめてサントリー以外の企業の仕事を経験しました。
そこで気付いたのは、世界は自分が思うよりずっと広く、選択肢がたくさんあるということ。
育休復帰後の職種もこれまでと同じブランドマネージャーだったため、社外の選択肢も探ろうと起業塾に通い、知識や人脈を広げていきました。
そんなある日、いつものようにデスクで仕事をしていたときにふと思ったのです。

――あれ、私、なんでここにいるんだろう。

会社員として働く自分への違和感。一度感じてしまったら、もうそこに居続けることはできませんでした。
2018年にサントリーを退職して起業。もともとキャリアシフトを応援するような事業を検討していたのですが、ブランディングの仕事を依頼されることが増えていきました。
私は自分のことをブランド開発に失敗した人間だと思い込んでいたけれど、それこそが武器であるとお客様が気付かせてくれたのです。これまで何気なくやっていたブランディングメソッドを体系化して伝えると、多くの人が喜んでくれました。

起業した翌年に法人化し、2022年には家族で山梨県北杜(ほくと)市に移住。ブランディングを軸にしながら、2023年の夏には宿泊機能付きコワーキング&コミュニティースペース「ヒュッゲの森 Hostel&Workspace」を開業予定です。キャリアシフトを考える人たちが集まって交流したり、自分の本音と向き合ったりできる場にしたいと考えています。
建物には廃材も使用。自分の失敗が強みとして蘇ったように、人生には何1つ無駄な経験はない、という思いを込めて採用しています。

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