PR会社でカメラのプロモーションを担当したことがきっかけで、工場夜景やジャンクションなどを撮影するようになりました。でも、なかなかオリジナリティのある写真は撮れなかった。

転機となったのは、新婚旅行で訪れたドイツでのこと。旅行の終盤、ドレスデンからの最後の移動で、疲れもピークに達した夕方のフランクフルト駅。突如、夕焼けに染まる幻想的な電線の風景が目に飛び込んできました。「これは撮らなければ!」。しかし同行していた妻は長旅に疲れており、撮りたい対象は普通の「電線」。観光スポットですらないそれを撮影すべきだと説得することは難しい。そんな一瞬の逡巡。

――いや、これは絶対に撮影すべきだ!

僕は「ちょっと行ってくる!」と言い捨て、カメラ片手に駆け出しました。撮影後、SNSに写真を投稿すると、1日で10万「いいね」がつき、帰国後すぐにテレビ局からの取材が入りました。海外からもこの写真を紹介したいという依頼が舞い込み、初の個展も開催。カメラに関する執筆の仕事などもいただけるようになりました。

あの時、自分の直観を信じたからこそ出会えた自分らしい写真。まさに、人生を変える1枚となりました。


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