春野さんショート

22歳で美容のスクール、店舗運営の会社(現在子会社化)を起業し、2011年に不動産事業を展開する株式会社ラグジュアリーを設立しました。経営者として最も大きな決断は、20代の最後。今後、長期的な事業拡大を視野に安定した雇用を維持するため、保育事業を志したことです。

創業時から当社では多くの女性が活躍していました。しかし、仕事を覚え大きな戦力になるタイミングと、結婚・出産のライフイベントが重なり、離職してしまう女性が多かった。もちろん社員の結婚・出産は喜ばしいことです。しかし、採用や教育にかけたパワーを考えると、大きな損失であることも事実。約10年前から世の中では待機児童が社会問題になっており、出産後にもとの職種・職場に戻れないことが大きな課題でした。女性が働きながら子育てができる環境を作りたい。そのために、福利厚生の一環として、自社で保育園を運営できないかと考え始めたのです。

保育関連の本をたくさん読み込み勉強しましたが、知れば知るほど痛感する、収益化の難しさ。やはり、保育事業は無理なのか……? なかなか突破口が見つからずにいた2016年、一筋の光が差し込みます。待機児童の解消を目的に、内閣府所管の「企業主導型保育事業」が立ち上がったのです。国から設備の整備費や運用費の助成が受けられれば、ビジネスとして成り立ちます。膨大な書類をひたすら書いて提出し、福岡市の1号案件として保育事業に採択してもらうことができました。

2016年に保育事業部、2017年に「四季のいろ保育園 舞鶴園」を開設。開園した当時は、右も左もわかりませんでした。子どもが安全に過ごすためにはどんな建物が最適なのか。採光面積や避難経路など建築基準法と相反する児童福祉法上の規制、子どもの成長曲線の理解や給食アレルギーなど、理解を深める必要性を感じ、自ら勉強して保育士免許を取得しました。その後、美容スクールのノウハウを生かして保育士免許取得のための講座も運営しています。

現在、福岡市内に3つの保育園を運営し、2023年3月時点で約130人の園児が通っています。経営者になってからの約20年の中では、うまくいかなかった事業もあります。数々の意思決定の中で、保育事業は大きく手応えを感じられる事業に育っています。保育事業を通じて社会貢献できていることに喜びを感じますし、当初の目的通り、女性が育児を理由にキャリアを諦めることなく、活躍できる土壌を作れたのは大きな成果です。

株式会社ラグジュアリー ホームページ
四季のいろ保育園 ホームページ

おすすめの記事