松田監督ショート

プライベートと仕事のバランスを見直したい。そう考え、2021年に東京から千葉県いすみ市に移住しました。

子どもの頃は特撮系のテレビ番組やアニメが好きでした。でも、学生時代に野球ばかりしていた自分が映像の世界に進むことは難しいだろうと考え、大学卒業後はIT企業に就職。
入社から2年、プログラマーとして大きなプロジェクトを終えたときに、「やるならいましかない」と一念発起し、会社を辞めてCG(コンピューターグラフィックス)を学ぶ専門学校に入学しました。映像の世界にもCGを使う波が来ており、「CGを使った映像制作なら自分にもチャンスがあるかもしれない」と思ったのです。

専門学校を卒業後、しばらくはフリーランスとしてテレビ番組のCGを請け負い、2002年に法人化。ドラマなど映像制作の現場に立ち会う中で、自分でも演出や監督をしてみたいと考えるようになりました。自主映画をコンペティションなどに出品している中で、ある芸能プロダクションの社長の目に止まり、2008年に映画監督としてデビューしました。

そこからはひたすら仕事の日々で、生活の9割を映像やCG制作が占めている状態。そんなあるとき、自分の関与しないところでのトラブルで撮影が延期になり、ぽっかりスケジュールが空いてしまった。

――このまま仕事中心の生活を続けるのか?

そう考えたときに、もう少しプライベートと仕事のバランスを整えたいと思いました。当時住んでた世田谷区は、幼稚園や小学校から受験を考える家庭が多いエリア。このまま東京で子育てすることにも疑問を感じ、東京以外での暮らしを模索し始めました。

移住先の条件は、東京に通いやすく、海に近いこと。週末に関東近郊のエリアを見て回った中で、いすみ市にある日本家屋を見つけて一目で気に入りました。生け垣や縁側があり、緑に囲まれている。ここで家族と暮らすイメージが浮かび、移住を決意しました。
しばらくは東京に拠点を残し、週末だけ妻と子どもが暮らすいすみ市に通っていましたが、コロナ禍でオンラインでの打ち合わせも多くなり、2021年に僕も完全に移住しました。

子どもが通う小学校までは片道2km。子どもたちは丈夫になり、風邪もひきません。僕は趣味でサーフィンを始め、朝型の生活に。東京から友達が遊びに来ることも多く、以前より人間関係が活発になりました。

6月2日公開の『美男ペコパンと悪魔』は、移住後に撮影した映画です。プライベートと仕事のバランスが整ったことで、以前よりクリエイティブな活動にも集中できています。

『美男ペコパンと悪魔』6月2日公開
企画・製作総指揮:堀江圭馬
監督・脚本:松田圭太
原作:ヴィクトル=マリー・ユーゴー「美男ペコパンと悪魔」 (翻訳:井上裕子)
出演:阿久津仁愛 下尾みう 梅宮万紗子 吉田メタル
Ⓒ2023映画「美男ペコパンと悪魔」製作委員会(ヴィクトル=マリー・ユーゴー著)
公式ホームページ

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