のぼるくんショート

高校2年生のとき、弁護士になろうと決めました。
英語の授業で、1人ずつ教壇に立ち、将来の夢をみんなの前で宣言する機会があったんです。英語の授業だけど、なぜか日本語で。

高2が知っている職業なんて、たかが知れています。思い描いた中で、単純にカッコいいな、と思ったのが弁護士でした。それで、みんなの前で「将来の夢は、弁護士です」と言ってしまった。みんな失笑です。

でも、一度宣言したこの目標が、ずっと心の中に残っていました。同志社大学の法学部に進学し、2年生までは進路のことはほとんど考えずに過ごしましたが、3年生になり就職活動が始まったタイミングで、就職するか、司法試験に挑戦するかの選択を迫られます。司法試験は簡単じゃない。合格できなかった先にあるのは、ただの法律に詳しいオジサンとなり、飲み屋でうんちくを語っている自分の姿。それ、一番モテないヤツやん。

リスクを承知の上で、僕は司法試験に挑戦することを決めました。僕より頭のいい人はたくさんいる。けれど、勝負できないわけではないだろう、と思いました。なぜなら、試験とは、その人の能力を見るのではなく、覚悟を量るものだと思ったから。覚悟の勝負だったら、自分は負けない自信がある。特に目標とする弁護士像があったわけではないけれど、自分の守りたい人を、法律の力で守れる弁護士になりたいと思いました。

3年生から本気で勉強をスタート。始めるのはおそらく遅いほうでしたが、僕の性格では短期集中が向いています。長くは頑張れないと思ったので、挑戦は1回だけ、と決めていました。大学卒業後は大阪大学のロースクールに進み、司法試験まで毎日10時間は勉強しました。

あくまでも、ゴールは司法試験の合格ではなく、弁護士になること。法律は僕にとっては学問ではなく人を助けるための道具です。誰かの役に立てなければ意味がない。それが、僕の司法試験に対する向き合い方でした。

弁護士になって3年。今は企業の顧問弁護をメインに担当しており、法律の知識だけでなくビジネス感覚も求められます。責任とプレッシャーは大きいですが、その分、やりがいも感じています。

僕が司法試験の勉強を頑張れた原点は、高2のとき、みんなの前でした宣言です。人間は弱いので、自分の力だけで夢を実現させるのは難しい。なりたいものがある人は、まわりに宣言することをお勧めします。そこから自分も奮起できますし、周囲の応援が、諦めずに続ける力になります。

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