藤岡頼光

フィリピンで日本人が経営する中では最大級となる英会話スクール、QQ Englishを2009年に立ち上げました。

乗り物好きだった私は、18歳でバイクの免許を取得するとすぐ、当時出てきたばかりだったバイク便サービスの運営会社でアルバイト勤務を開始。月間70~80万円の収入を得ることができたため、その後、26歳のときに7人の同僚たちと共同で資本金300万円を出し合って「キュウ急便」というバイク便の会社を設立しました。バイク便では従業員100人ほどの会社に成長したため、年間100台ほどバイクを購入していました。「取引先も多く、整備士もいる。この体制を生かせばオートバイ屋ができるのでは?」と考えた私は、「お客様からリクエストを聞いてオートバイを探してきて販売する」というオーダーメイド型のビジネスを始めました。ところがこのビジネスは、「同一メーカーのバイクを販売する店舗を半径2キロメートル以内に開設してはいけない」というエリア制限規則に違反していたため、国内の全バイクメーカーとの取引が停止に。そこでイタリア製のオートバイを輸入・販売する事業に方向転換し、「コネクティング・ロッド」というバイクショップを設立しました。

バイクショップではイタリア製バイクを日本でいちばん販売していましたが、語学ができない私は仕入れに行っても現地の方とうまくコミュニケーションが取れません。次第に「趣味のバイクについて、通訳をつけずに話したい!」と思うようになり、イタリアのフィレンツェに留学に行ったものの、イタリア語は数日で挫折。それならせめて英語を勉強したいと、アメリカより安くて近いフィリピン・セブ島に「セブ島留学」というものがあることを知り、10カ月間留学しました。

セブ島留学ではマンツーマンで先生がついてくれるため、国内の駅前留学などで挫折した私でも続けられ、みるみる英語が上達していきました。英語が話せるようになると世界がガラリと変わり、英語が得意なイタリアのバイクメーカーの社長とも親しくなって、自宅に遊びに行ける仲にもなりました。

英語が話せるようになっただけで世界への扉が開いたように感じ、こんなにわくわくする世界、見たことのない世界を見ることができるなら、この体験をもっと多くの人に体験してほしい、と考えるように。実はフィリピンから帰国後、現地の先生にコンピューターを購入し、スカイプでつないで自分でオンラインレッスンをお願いしていました。2009年にこの仕組みを事業化し、オンライン英会話事業を開始。翌2010年に留学事業を開始しました。

現在では世界30の国と地域でビジネスを展開。正社員採用した1800人以上の教師が、年間6000人の語学留学生たちと、延べ70万人を超えるオンラインレッスン生たちに英会話授業を提供しています。

英会話はバイクのツーリングに似ています。コーナーを曲がるまではその先に何が待っているかわかりません。でも、角を曲がれば新しい景色が開けています。

今後はシニア向けの脳トレ英会話にも力を入れ、より多くの人たちに英会話のできる世界を見せてあげたい。私が英会話を始めたのは40歳のときのことです。語学に何度も挫折した私でもセブ島に行って人生の新しい扉を開くことができました。さまざまな理由で語学を諦めてしまっている人にも、より多くこの体験を届けていけたらと思っています。

(構成/岸のぞみ)

QQ English ホームページ


おすすめの記事