伏見陽介

コロナ禍の2021年11月、脱サラしてクラフトビールを販売する「すごせる酒屋MUGI」をオープンしました。

2階が自宅で1階の店舗はすでに閉店。そんなお店が立ち並ぶ、いわゆるシャッター商店街。僕は、そんな静岡県内の商店街で生まれ育ちました。1店、また1店と閉店していくのを目の当たりにし、「商店街なのに商店がない!」という危機感を覚えるとともに、商店街に失礼なんじゃないかとさえ思うようになっていました。

もやもやを抱えながら、静岡大学理学部生物化学科に進学。学業の合間にビール会社でのアルバイトを経験しました。それを機にビールの美味しさに感動し、就職はビール会社の研究職を目指しましたが採用枠が少なく断念。マイナビの法人営業として社会人人生をスタートさせました。

しかしビールへの思いも捨てきれなかった僕は、新卒1年目から「静岡クラフトビールマップ」の作成を開始。地元・静岡の人々が静岡のビールを知らなすぎることに驚き、大手出版社出身で敏腕デザイナーの知り合いに協力してもらって作った渾身のフリーペーパーです。週5~6日、店舗に足を運んでビールを飲み、法人営業で培った営業力で掲載店舗50店舗の広告出稿を取り付けることにも成功。3年目には黒字化も達成しました。

そんな最中のパンデミック発生。最も打撃を受けたのは、ビアバーやビアホールなどのお酒を扱う飲食店でした。酒を提供することはできても、酒販免許を持っていない飲食店はお酒のテイクアウトができません。地元のビールは家飲みがほとんど行われておらず、全然飲んでもらえるチャンスがない。

本業の仕事においては異動の話が持ち上がり、リモートワークという新しい働き方にもなじめずにいたタイミングでした。30歳近くなったらもうやらないんじゃないかという直感。そして、2021年4月、26歳のときに会社を退職、クラフトビールを提供する酒販店をオープンさせることに決めました。

商店街の真ん中にある母方の実家で築70年の物件を借用し、「すごせる酒屋MUGI」を開業。現在、静岡のどの店舗よりも地元のクラフトビールを扱っています。酒を売るだけでなく、店内で飲める居酒屋スタイルも導入。現在、地元の電力会社と協業して、ホップの収穫に合わせたイベントの開催も進めており、ECサイトの整備も含めてやりたいことが盛りだくさん。地ビールの普及、そして商店街の活性化に向け、これからも全力を尽くします!


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