高倉氏ショート

実家はお寺です。「寺を継ぐの? 継がないの?」これ、わりと子供の時から今になっても、親しい人から親しくない人まで、幅広く聞かれる寺の子あるある。聞かれる度にその場にあわせて適当に受け答えをする「そうですね」とか「ちょっとわかんないですね」とか。やっぱ気になるみたいなんですよね、寺継ぐか継がないかって。

26歳、僧侶の資格を取るために3年間大学院に通い、ついに卒業のとき。さて、どうするか。言ってしまえば答えは「実家に帰って寺を継ぐ」の一択。それに何の不満もない、むしろ向いている。信仰心はもちろんある、仏道を勉強し、信者さんのためにいいお寺を作り、阿弥陀様を思って念仏を称える。うん、いい人生じゃないか。

いや、待てよ。「お寺を継ぐ=他のことしちゃいけない」って誰が決めたのか? どうにも昔からのイメージで、僧侶になると僧侶の活動しかやっちゃダメな気がするのです。でも、あくまでそんな「気がする」だけ。そこに気が付いたとき、僧侶以外の活動もしようと決めました。お笑い、演技、ライター……。できなきゃやめればいい。自分の限界はどこまであるのか。それを知りたいだけ。それもまた、いい人生だと思うのです。


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