akinohmachi

仕事には、「向き・不向き」がある。転職したことで思い知ったその事実は、私にとって人生最大の挫折であり、同時に、人生の大きな転機ともなりました。

結婚を機に上京。広告代理店に入社し、順調にキャリアアップ。「どんな仕事もそつなくこなせる」と評価されることに多少の違和感を覚えつつも、単純な進行管理や交渉事をこなせない同僚や部下がいると「努力が足りないのでは」と疑問に思う自分も確かにいました。

そんな中、30歳を過ぎ、「人生最後に」と決意した転職。私が選んだのは、オンライン上で数万人クラスのファンコミュニティを運営し、各種分析データをもとに商品やサービスの開発、企業ブランディングに生かすというWebベンチャーにおけるプランナーの仕事でした。
毎朝6時に家を出発。会社近くのカフェで仕事をしてから出社し、夜遅くまでプランニングを考える日々。でも、どんなに努力しても何もかもうまくいかなかった。

キャリアの最後にと選んだはずの転職。悔しくて毎日泣いて過ごす日々の中で、人間には仕事に対する各種の適性というものがあって、それは努力でたやすくどうにかなる類のものではないのだということを思い知ったのです。かつての仕事は私に向いていただけで、仕事ができるとかできないとか、そんな単純なことではなかったんだ――。

現実を受け入れるのはとても辛く苦しいものでした。でも1年で去ることになったあの会社の存在がなかったら、私は愚かな先輩・上司になっていたことでしょう。あの日々を過ごしたからこそ自分の強みや弱みを知ることもできた。人の見方も仕事の見方も変えることができた。私にとっては最大の挫折。でも必要だった日々。多くの痛みを伴って得た人生訓が今、私を生かしていると感じるのです。

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