バブリー総長ショート

高校2年生になったばかりの春、山梨の実家を飛び出し、大阪に向かいました。
――もう、ここにはいられない。
この衝動的な家出から、私の人生は大きく変わりました。

両親ともに教師。公務員の家庭で厳しく育てられた私は、幼少期からまわりを悲しませないように、迷惑をかけないようにと生きてきました。
自分のためではなく周りのために勉強し、生徒会長も務めた。高校は進学校で、大学に行くことが当たり前。しかし、そんな生活が苦しくなり、不登校になってしまいました。家にもいられなくなり、衝動的に飛び出したのが、16歳の春。

知人のツテを辿って向かった大阪には、これまで私が接したことのないギャルたちがいました。自分の好きな服装と好きなメイク。他人の目を気にせず、自分軸を持って生きている彼女たちを「カッコいい!」と思った。

そこからギャルのマインドを学び、私もギャルになっていきました。メイクを覚えて、髪の毛は金髪に。それまで遠慮して自分の好きな服を着たことがなかったので、はじめて自分の好きな服を買って着たとき、ようやく本来の自分になれた気がした。

2年ほどの家出を経て実家に戻り、東京の大学に進学。卒業後、一般企業に勤めましたが、私の人生を変えてくれたギャルマインドを世の中に広めたいという思いが強くなっていきます。駅前で「ギャル探しています」とプラカードを下げてスカウトしたり、ギャルが集まるカフェで声を掛けたりしてギャルマインドを持つ仲間を集めました。

そして、2022年にCGO(Chief Gal Officer)ドットコムを設立。
12人のギャルたちと「自分軸」「ポジティブ思考」「自分の好きと直感を大事にする」というギャルマインドを軸にした「ギャル式ブレスト」を生み出し、企業の新規事業や新製品開発のお手伝いをしています。
参加者からは、「固定観念がなくなり、アイデアがたくさん出てきた」「自分の中にもギャルがいることに気づいた」など、嬉しい感想をいただいています。

私の家出は、言ってしまえば「逃げ」です。でも、逃げた先に、自分を受け入れてくれる居場所があった。いま、あのときの自分に声を掛けるとしたら、「たくさん逃げな。その先に、もっと面白いことがいっぱいあるよ」と伝えると思います。

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