河野真杞

出産を機に、10年勤めたリクルートを退職し、子育てに専念。そのときの経験をきっかけとして、心理分析アドバイザーの活動を始めました。

祖父母が同居する7人家族の中で育った私。祖母と母は折り合いが悪く、鋼のメンタルを持った厳しい祖母と、泣き虫で気の弱い母の間でケンカは絶えませんでした。か弱く過干渉で過保護な母に苦手意識を持ち始めていた小学校6年生のとき、母は重度のうつ病となり、一時期、別居生活を送ることもありました。

早く働いて母の干渉から逃れたいと思っていた私は、短大を選び、卒業後リクルートに入社。その後、25歳で結婚、30歳で妊娠が発覚すると、リクルートの退職を決意。仕事は充実していましたが、「いまの忙しさのまま育児をして後悔したくない」という気持ちが強く、子育てを優先することに決めました。

長女の子育ては思いのほかうまくいき、「仕事を続けたままでもうまくいったのでは?」と思えるほどでしたが、次女が生まれると、状況は一変。次女は寂しがり屋で繊細な子です。学校でストレスを感じると「全部ママに聞いてほしい!」と思うタイプ。私が調理中で火を使っている最中にも「聞いて聞いて」とやってくるので、「ちょっと後にして」と言うと、すねて何時間も不機嫌になります。

何か打開策はないかと探る中でたどり着いたのが「i-color(アイカラー)」でした。i-colorは1980 年代に3000 万件以上のデータを解析し、日本で開発された統計心理分析ツールです。そこで、独立思考が強くさっぱりした、私や長女のような「独立タイプ」と、協調性を重んじ、思いを共有したい次女のような「共感タイプ」、それとは異なる「直感タイプ」という大きく3つに分類できることがわかりました。i-color分析により、祖母と母がなぜあんなにぶつかっていたのかも、謎がすべて解けるように理解できました。

違いを知ったことで、子どもとの関わり方を変えることができた。私は思ったことをそのまま言葉にしてしまうタイプなので、言葉を選び、次女の話をきちんと聞いてあげるように注意し、徐々に良い距離感をつかめるようになりました。

この経験をきっかけに、心理分析アドバイザーの活動を開始。これまでに、延べ300 名の親やスポーツチームの指導者などをサポートしてきました。

将来的には、子どもたちの心のセーフティネットになってあげたい。ふらりと立ち寄れる第二の実家のような居場所づくりができればと思っています。


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著書 『子どものやる気を引きだす親 うばう親』(キノブックス/2016年刊)


 

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