丸澤武

長年勤めあげたトヨタを早期退職し、自分の力で1からビジネスを立ち上げることに挑戦すべく、狭山茶の魅力を発信する会社を立ち上げました。

ものづくりに興味があったため、就職先はメーカーを希望。中でも仕事の広がりが見込めるグローバル企業に就職したいと考え、1986年、トヨタ自動車を志望し、無事就職しました。入社当初から海外部門を希望していたところ、国内勤務を経て1994年に北米事業部へ、40歳を過ぎた頃には念願の海外勤務に挑戦することができました。ベルギー、イタリア、トルコ、シンガポールと渡り歩き、足掛け8年ほど海外駐在を経験。海外事業は扱う金額も大きく刺激的で多くの学びがありましたが、「車を企画して世に出していく」「現地に工場を作って車を販売する」という一定のパターンがあり、次第にもっと新しい広がり、別のフィールドに挑戦したいという気持ちが強くなっていきました。

海外から帰国して数年経った2017年、思い切って退職を決意。特に明確なプランがあったわけではありませんでしたが、退職理由に説得力を持たせるため、「シェアリングエコノミーの会社を立ち上げる」と周囲には話していました。同時にどのようなビジネスが可能かさまざまなリサーチを開始。官公庁と仕事をしたときに知った「観光地域づくり法人(DMO)」の存在や妻の実家である埼玉県所沢市へ移住したこと、海外駐在経験を生かした外国人ネットワーク、茶葉生産者との出会いなどいくつかの要素が重なって、次第に所沢という地の利を生かして何か商売ができるのではないか、と考えるようになりました。

お茶の消費量が減少傾向にあること、狭山茶を目的として訪れるほどの観光資源には育っていないことなどを見聞きしながら実際に試飲してみると、そのおいしさに驚き、「これは観光資源になる」と確信。狭山茶を主軸にした事業展開を整えていきました。

現在は日本三大銘茶の1つであるこの狭山茶の小売事業、茶葉の摘み方や淹れ方を体験できる「さやまちゃ塾」の運営事業などを手掛けながら、狭山茶の魅力を国内外に発信しています。

今後はワイナリーツアーのお茶版、「茶イナリーツアー」を企画し、PRしていきたい。狭山茶は味も秀逸で狭山茶の生産地までは東京からほど近いにも関わらず、カスタマーオリエンテッド(顧客のニーズに応え、顧客満足・利便性の向上を図ること)が乏しかったために多くの方々に知っていただく機会を逃してきたと感じています。都心から30分の距離で茶摘み体験ができるというのは特に外国人観光客にとっては貴重な経験です。このような積極的な施策を打ちながら、今後も狭山茶の認知度向上に努めていきたいと考えています。


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