わかなさんショート

大学2年生のとき、「ロリータファッションとランドセル」に出逢いました。重度のアトピーで自分に自信が持てず、オシャレとは無縁だった私が「自分の好きなファッションで生きていこう」と決めた瞬間でした。

私のアトピーのつらさは、目を覚ますと同時に痛みで悲鳴をあげるほど。服用を続けたステロイドの影響で成長ホルモンの働きが阻害され、身長は133cmで止まりました。皮膚がむけて汚いといじめられ、学校も休みがちに。いまでも覚えているのは、「妖怪」というあだ名をつけられたこと。
高校生までは、おしゃれをする余裕なんてありませんでした。アトピーによる汁や血で服が皮膚に張り付いてしまうため、かわいい服よりも体に負担が少なく、着脱しやすいものを選択していました。強い自己否定にとらわれていたため、「私なんかがおしゃれをしてもな……」という思いもありました。

そんな私ですが、大学生になってアトピーが少し落ち着くと、抑え込まれていた「おしゃれへの憧れ」が爆発しました。ちょうどそのとき、ロリータ関連のイベントに参加する機会があり、年齢・性別に関係なく、誰もが好きな服を着て自分を表現している姿に衝撃を受けました。

――好きなように装ってもいいんだな。

みんなに背中を押してもらったのです。

ロリータファッションに袖を通した瞬間、はじめてなのになぜかすっと肌に馴染む感覚がありました。かわいくなりたい気持ちをずっと心に秘めていたので、本来の自分を取り戻したような感覚でした。

私と同じようにコンプレックスを抱えている人を励ましたいと考え、SNSでの発信も開始。生まれ持った手札は自分で選べませんが、それなら配られたカードを最大限生かすゲームの進め方を考えればいいのです。どんな個性も魅力になるのだと日々伝えています。

低身長だから、私は普通の服を着ていても目立ちます。それなら好きな服を着て目立ちたい。ランドセルを背負うのは、低身長をコンプレックスとして隠すのではなく、チャームポイントとして魅せていきたいと思ったから。

コンプレックスにとらわれていた過去の私といまの私は、見た目は大きく変わっていても、中身は何も変わっていません。いじめやアトピーによって抑圧されていた「思う存分おしゃれをしたい」という気持ちが、ようやく出せたというだけ。

ありのままの自分をSNSで表現したことで私の環境は大きく変わりました。6月にはロリータのファッションショーに出演させてもらったのです。コンプレックスを乗り越え好きな服を着て生きる私の姿を見て、「勇気をもらいました」「私もコンプレックスがあるけれど、表舞台に出てもいいんだと思いました」と言ってもらえる機会が増え、私のやってきたことが報われた気持ちです。

どんな人でも、自分の個性を生かす方法が必ずあるから、どうか諦めないでほしい。コンプレックスを強みに変えて駆け抜けてください。捉え方1つで自分の人生は変えられます。身をもって、私がそれを証明していきたいと思います。

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