このみちゃんショート

大学時代、きちんと働ける自信がなくて就職活動をろくにしませんでした。拾ってくれた会社でエンジニアとして働くも、特に好きではない仕事。次第に、夢中になって仕事の話ができる友人たちがうらやましくなってきて……。新卒カードを無駄にした自分を後悔するようになりました。こんなのわたしの人生じゃない! と思いながら、満員電車に揺られて、淡々と仕事をこなして。朝、目が覚めるたびに、「全部嘘だったらいいのに」と思う日々は、本当につらかったです。

でも、ひとつ気がついたのです。「意外とわたし、働けるんだ」と。働けるなら、好きな仕事にチャレンジしたっていいんじゃないか。そう思って、思い切って会社をやめました。あてもないのに、先輩には「絵本の編集をやろうと思います」と言って。なぜか、うまくいく自信があったのです。

予感の通り、縁があって出版社に入社。憧れの絵本編集の仕事に就くことができました。仕事はとてもやりがいがあり、目に映る世界の色が何十倍にも増しました。生まれてはじめて、仕事っておもしろいと思いました。人生の大半を費やすことになる仕事。おもしろくもあるんだと気がつけて、人生がぐっと豊かになりました。

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