嘘のない化粧品を創るため、コンサルティングを手掛けていたスキンケアブランドを買い取り、自分で1からブランドを構築しました。
公務員の父親のもと、「公務員になりなさい」と言われて育ちました。スポーツが好きな普通の少年で、大学では競技スキーに熱中。親の言いつけ通り警察官採用試験を受けて合格しましたが「民間ではおまえなんて通用しないよ」と父親に言われたことに反発し、大学卒業後は、アパレル会社に入社しました。
優秀な先輩たちに囲まれて仕事をしていると面白く、行動心理学やマーケティングにも興味を持つようになりました。ビジネス書も読むようになり、気が付けばエリアブロックで1位の成績に。ところがそれほどの実績を残しても希望職種だったバイヤーへの異動は叶いませんでした。幹部候補生と一般社員では明らかにルートが違うのだということを痛感した私は、会社を辞め、人材採用会社でコンサルティングをしたり、夜間大学院で会計・経理などを学んだりと試行錯誤を始めました。
そんな折、コンサルティングで携わっていた取引先の化粧品メーカーで代替わりがあると聞き、会社を内側から立て直したいと考え、経営を手伝うために入社。中に入るといままで見えてこなかった問題が少しずつ見えてきました。
そこで、自社化粧品の改革を決意。調達部門にテコ入れし、原料メーカーと直接取引をするなど、経営改善に尽力していきました。工場の設備や研究所の検査機器も新しく導入し、スタッフも増員。カスタマーセンターを立ち上げてお客様の声にも真摯に向き合い、化粧品メーカーの大改革を進めていったのでした。ホームページのリニューアルやメディア戦略も奏功し、テレビ局から工場見学の取材が殺到。工場見学は半年待ちとなるなど、入社2年で売り上げとブランドイメージの向上に成功したのでした。
この頃、プライベートでは結婚し、第一子が誕生。ところが生まれた子どもの乳児湿疹や皮膚の乾燥が気になり、化粧品の開発担当者に相談してみると「うちのメーカーの商品は使わないほうがいい」と言うのです。「なんでやねん」と思いました。「まずは自分たちが本当にいいと思う商品を創ろう!」と開発担当者たちを励まし、すべての原料・工程を見直した新商品の試作品をビーカーで作り上げることに成功しました。原価は5~6倍になりましたが、コンセプト通りの嘘偽りない自信作です。一時的に利益率は下がるけれど、長期的に見れば絶対に売り上げが上がっていくはず。そう信じて稟議書を提出しましたが、「創業者が考えた商品にケチをつけた」と受け取られて品質改革は頓挫。「それよりもパッケージをかわいくしたい」という創業家の鶴の一声で、品質ではなくパッケージ変更が進んでいきました。
収入も立場も良かったけれど、「この仕事は子どもに誇れる仕事なのか?」と疑問に思い、本当に大切な人に自信を持って薦めることのできる商品作りのために退職しました。
34歳で独立を決意し、2011年にスキンケア化粧品ブランド「肌〇(はだまる)」を立ち上げました。「究極のオールインワンゲル」を形にするためにOEMメーカー探しを始め、直接工場に足を運んで原料・オペレーションを入念にチェック。1円でもコストを下げるためにパッケージメーカーとも直接交渉してコストダウンを図り、中身に価格が反映されるようにあらゆる手間を惜しまず開発に勤しみました。
販売面でもECサイト・バラエティショップでの接客ともに、「売る」販売ではなく、「コンセプトや成分に共感して、購入いただく」販売を徹底。美容薬学検定や日本化粧品検定、スキンケアマイスターなど従業員の資格試験費用負担も実施し、2カ月に1度は勉強会を開催するなど、「本当にいいもの」をお届けするための努力を続けています。おかげで楽天市場でのリピート購入率が65%を超えるなど、多くのお客様に納得いただける商品をお届けできていると実感しています。
化粧品の技術は日々進化しています。これからも常にアンテナを立て、最新の原料・技術を貪欲に学びながら商品に取り入れ、肌トラブルで本当に困っている人たちの助けになるようなスキンケア商品を開発・販売していきたいと思います。
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