番野和敏

漫画家育成のための教育機関を設立したこと。これが私の決断です。

大学卒業後、兄が在籍していたという経緯から、NPO法人ETIC.(エティック)に入職した私。ETICは「社会の未来をつくる人を育む」を理念とし、各種のインターンシップや起業支援プログラムなどを手掛けるNPO法人ですが、もう少し規模が小さく小回りの利く場所で若者の就労支援・自立支援を手掛けたいと考え、NPO法人コトバノアトリエ(現・NPO法人LEGIKA/レジカ)に参加しました。

そこで、「トキワ荘プロジェクト」を担当することになった私は、漫画家を目指す若者向けにシェアハウスを開発・提供し、漫画に関する専門家を招待した研修や講座などを実施してきました。入居者のメンターとしてさまざまな悩みを聞く中で、「面白い漫画が描ける子どもたちを育てていきたい」「もっと体系的に漫画を学ぶ機会があって然るべき」という気持ちが日増しに大きくなっていきました。

そんな中、『ジャンプSQ.(スクエア)』で連載中だった『マンガゼミナール MANZEMI(マンゼミ)』の斉藤むねお先生と知り合い、人物の作画、物語の構築などを教える漫画ゼミを、先生の連載の名前を冠して『MANZEMI』と名付けてスタート。入居者には合宿的に参加してもらうほか、社会人向けにもサービスを始めました。2012年に立ち上げ、コロナ禍を機に事業譲渡を受け、独立。現在はオンラインをメインに、10回の講座と月2回のゼミを中心に漫画教育を提供しています。

日本は職業教育の場がまだまだ少ないと感じます。地道に体系的に整理して教育していくことの意義は大きい。「技術は見て盗め」というけれど、盗むにも技術が必要です。今後はテキスト教材を拡充し、より多くの漫画家志望者を育てていきたい。試行錯誤しながら進んでいければと思っています。


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