2021年、当時勤めていた会社を退職し、茶道の精神をビジネスに生かす「茶道思考」を体系化。ビジネスパーソンに向けた研修運営を始めました。
茶道を始めたのは小学3年生のとき、テレビで茶道のお点前を見て、興味を持ったのがきっかけでした。たまたま、隣の家に茶道講師の資格を持っている女性がいて、茶道を習い始めました。お茶を飲んでお茶菓子を食べて、上手にできたら褒めてもらえる。子どもにとってとても楽しい習い事でした。
お点前を覚えていくことが楽しくなって本格的に茶道を習い始め、高校生のときには上級の資格を取得。大学受験の際も休むことなく、東京理科大学に進学し味の素に研究職として就職した後結婚し、28歳で出産するまで続けました。
育休から復帰した後は、化粧品開発者として研究を深め博士号も取得しました。茶道を再開したのは、43歳のときです。味の素の茶道サークルで講師のアシスタントをすることになり、そこではじめて茶道をまったく知らない人に教える機会を持ちました。
教える際に、ただ「お行儀よくしましょう」と言うのではなく、「お茶席とは千利休が戦国武将たちの密談の場としてコーディネートした席なのだから、そこで無礼なことをしてはいけないんです」と言ったほうが納得度は高まるし、興味を持ってもらえる。理系脳で論理的に話すと茶道も理解されやすい。そんな気付きがたくさんありました。
その後、2度の転職を経て、55歳のときに県立高校の茶道部から、「茶道部のインストラクターをやってくれないか」と思いがけない連絡をいただきました。技術的にはできないことはない。茶道を教える面白さも感じていました。ただ、親の介護もあり、管理職としてフルタイムで働く会社員にとって、そんな時間がとれるとはとても思えませんでした。それでも茶道の世界で自分を必要としてくれる人がいることに、喜びを感じたのです。
――本当に、時間をとるのは難しいのだろうか?
――めいっぱい仕事ばかりしている生活は楽しいのかな?
自分に問いました。インストラクターを引き受けるなら、毎週午後に仕事を休む必要があり、両立は難しい。この際、辞めるのも1つの選択肢かもしれない。
そのときに、これまで社会人に茶道を教えることを通じて考えを温めてきた、茶道の精神をビジネスに生かす「茶道思考」に至りました。
500年前から時代に合わせて変革を続けてきた茶道には、「もてなし」や「ブランディング」「クリエイティビティ」など、ビジネスに生かせるポイントがたくさんあります。そして心の在り方を見つめ直す時間になります。自分自身の会社員生活を振り返ってみても、人を敬い、調和を大事にする茶道の精神がチーム内のコミュニケーションや部下のマネジメントなどに大いに役立ちました。それをビジネスパーソンに伝えていきたい、と考えたのです。「茶道思考」を考え出したことで夢は広がり、仕事を辞める決意が固まりました。
2021年9月末に退職し、翌10月には会社を設立。「茶道思考」を商標登録し、いまは全6回の講座を開催しています。オンライン講座もありますが、対面講座では、季節ごとの景色の移り変わりを体験してもらいながら、実際に茶道を体験していただきます。
茶道のしきたりは、知識がなければ「面倒くさい」「ルールが多くて大変」と思われがちですが、お点前1つ1つに意味があり、そこには先人たちの知恵が込められています。
いまは士業の方など個人の方がメインですが、今後は企業研修への導入も進めていきます。一人でも多くの人に茶道の世界観を伝え、ビジネスに役立てていただきたい思います。
茶道を始めたのは小学3年生のとき、テレビで茶道のお点前を見て、興味を持ったのがきっかけでした。たまたま、隣の家に茶道講師の資格を持っている女性がいて、茶道を習い始めました。お茶を飲んでお茶菓子を食べて、上手にできたら褒めてもらえる。子どもにとってとても楽しい習い事でした。
お点前を覚えていくことが楽しくなって本格的に茶道を習い始め、高校生のときには上級の資格を取得。大学受験の際も休むことなく、東京理科大学に進学し味の素に研究職として就職した後結婚し、28歳で出産するまで続けました。
育休から復帰した後は、化粧品開発者として研究を深め博士号も取得しました。茶道を再開したのは、43歳のときです。味の素の茶道サークルで講師のアシスタントをすることになり、そこではじめて茶道をまったく知らない人に教える機会を持ちました。
教える際に、ただ「お行儀よくしましょう」と言うのではなく、「お茶席とは千利休が戦国武将たちの密談の場としてコーディネートした席なのだから、そこで無礼なことをしてはいけないんです」と言ったほうが納得度は高まるし、興味を持ってもらえる。理系脳で論理的に話すと茶道も理解されやすい。そんな気付きがたくさんありました。
その後、2度の転職を経て、55歳のときに県立高校の茶道部から、「茶道部のインストラクターをやってくれないか」と思いがけない連絡をいただきました。技術的にはできないことはない。茶道を教える面白さも感じていました。ただ、親の介護もあり、管理職としてフルタイムで働く会社員にとって、そんな時間がとれるとはとても思えませんでした。それでも茶道の世界で自分を必要としてくれる人がいることに、喜びを感じたのです。
――本当に、時間をとるのは難しいのだろうか?
――めいっぱい仕事ばかりしている生活は楽しいのかな?
自分に問いました。インストラクターを引き受けるなら、毎週午後に仕事を休む必要があり、両立は難しい。この際、辞めるのも1つの選択肢かもしれない。
そのときに、これまで社会人に茶道を教えることを通じて考えを温めてきた、茶道の精神をビジネスに生かす「茶道思考」に至りました。
500年前から時代に合わせて変革を続けてきた茶道には、「もてなし」や「ブランディング」「クリエイティビティ」など、ビジネスに生かせるポイントがたくさんあります。そして心の在り方を見つめ直す時間になります。自分自身の会社員生活を振り返ってみても、人を敬い、調和を大事にする茶道の精神がチーム内のコミュニケーションや部下のマネジメントなどに大いに役立ちました。それをビジネスパーソンに伝えていきたい、と考えたのです。「茶道思考」を考え出したことで夢は広がり、仕事を辞める決意が固まりました。
2021年9月末に退職し、翌10月には会社を設立。「茶道思考」を商標登録し、いまは全6回の講座を開催しています。オンライン講座もありますが、対面講座では、季節ごとの景色の移り変わりを体験してもらいながら、実際に茶道を体験していただきます。
茶道のしきたりは、知識がなければ「面倒くさい」「ルールが多くて大変」と思われがちですが、お点前1つ1つに意味があり、そこには先人たちの知恵が込められています。
いまは士業の方など個人の方がメインですが、今後は企業研修への導入も進めていきます。一人でも多くの人に茶道の世界観を伝え、ビジネスに役立てていただきたい思います。
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