山里真元

私の決断は、日本最大規模のスーパーカーオーナーズクラブであるSuperCar Club Japanの代表・須山泰宏さんと一緒に一般社団法人日本スーパーカー協会を立ち上げたことです。

クルマ社会で育った環境と両親の影響で、幼少期からクルマ好きだった私。18歳で自動車の免許を取得、『頭文字(イニシャル)D』全盛期だった影響で、登場人物の愛車だったマツダRX-7を中古車で購入し、峠を走り回っていました。ロータリーエンジン搭載車を愛車に選んだためか、クセが強く生き物感のあるエンジンへの憧れは強く、「将来はたくさん稼いでフェラーリに乗りたい!」という思いは日に日に強くなっていきました。

大学卒業後はNTTデータシステム技術株式会社に入社。社会人になってからもいちばんの趣味はクルマで、足回りを中心にチューニングしたロータス・エリーゼを購入、空き時間を見つけては箱根、房総半島へツーリングに出かける生活を送っていました。

29歳のとき、新車発表会ではじめて憧れの人・須山泰宏さんに出会うことができました。須山さんはいわば日本のスーパーカー界を束ねるボス的な存在です。「自分もSuperCar Club Japanに加入したいです!」と直談判し、加入。そこで200人ほどが集まるツーリングイベントの企画・運営などを手伝うようになりました。

37歳のある日のこと、突然須山さんから一本の電話がかかってきました。

「一般社団法人日本スーパーカー協会を立ち上げるから一緒にやらないか」

その言葉に私はびっくりしましたが、新しいことに飛び込むのが大好きだった私はその話をお受けすることにしたのです。2017年のことでした。

須山さんは散り散りになっていたスーパーカークラブをまとめる、全日本スーパーカー連絡会を2015年に単独で立ち上げました。これは立ち上がっては自然消滅するスーパーカークラブを1つに束ねようという取り組みでしたが、思っていたようには機能しませんでした。その反省を踏まえて、日本のスーパーカー文化の発展と社会的なスーパーカー活動の推進を目的として、スーパーカーオーナーをより強く結びつける活動が可能な一般社団法人を立ち上げたい、とのことでした。

その当時私は東京都港区にある芝浦のマンションに住んでいて、4つのタワーマンションを束ねる自治会の役員を務めていました。タワーマンションなので自治会といっても年間2000万円ほどの活動予算があり、行政とスポンサーを誘致して有名アーティストを呼んでスーパーカーの横でライブをする等、住民満足度向上のためにさまざまなイベントを開催しました。自治会活動で得た知見から、日本スーパーカー協会立ち上げに際しても大規模なイベントを打つことを決定、場所はイベントの聖地・お台場に決めました。一般社団法人日本記念日協会に依頼して、11月1日を「スーパーカーの日」として登録、着々と準備を進めていきました。実はこの頃、仕事ではNTTデータシステム技術から父が創業者の日本コムシンクへと転職を決めていました。有休消化のタイミングに合わせてイベントに専念したにも関わらず、1カ月で20時間ほどしか眠る時間を確保することができないほどの激務。イベントの企画・設計・運営、スポンサー誘致活動、公園の使用許可に伴う行政との調整、スーパーカーの手配、キッチンカーの準備など仕事内容は多岐にわたり、イベント前日まで公園の使用許可が下りない、スポンサー企業には断られ続けるなどイベント実現は困難を極めました。

でも、絶対に実現させたかった。実は協会発足当初、活動に対して懐疑的な意見も多数いただいており、「みんなをあっと言わせてやりたい」という思いが強く私たちの中にはあったのです。

こうして開催されたTOKYO SUPERCAR DAY 2018は、スーパーカーがお台場のガンダム前の公園周辺に250台も展示される豪華なイベントとなり、来場者数3万人の大盛況を収めることができました。このイベントの成功を皮切りに、TOKYO SUPERCAR DAYの継続開催や東京モーターショーへの出展など次々と発信を続け、日本のスーパーカー文化の発展に寄与することができました。

そして今年2025年10月29日に開催されるJapan Mobility Showは120万人が来場すると言われている国際的ビッグイベント。今回の出展でもっともっとスーパーカーの魅力を伝えていきたい。私はスーパーカーという趣味によって職能もレベルアップし、須山さんをはじめとする趣味仲間を得ることもできました。その感謝をクルマ社会に返したい。「公道を走るクルマはすべて自動運転、クルマを運転したい人はサーキットに行ってください」、というような社会にはなってほしくないんです。所有する楽しみ、運転する楽しみを身近なものに。そのためのパラダイムシフトをつくる、特異点になりたいと思っています。


一般社団法人日本スーパーカー協会 ホームぺージ


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