森さんショート

48歳のとき、たまたま居酒屋で隣同士になった人と意気投合し、バンドを組むことになりました。いまは複数のバンドを掛け持ちし、年に10回くらいライブをしています。それまで仕事も趣味もゲームで占められていた私の人生が、音楽をきっかけに大きく変わりました。

新卒でソフトバンクに就職し、営業として働いていました。そんな2000年頃、北米から入ってきたオンラインゲームをプレイしてみたところ、あまりの面白さに衝撃を受けたのです。「これは世の中の遊びを大きく変える可能性がある」と思い、ナムコに転職してオンラインゲームの開発に携わりました。その後、大企業の論理に関係なく、純粋に「自分が面白いと思うゲームを世の中に出したい」と考えて39歳でコスモマキアーを設立。そこからは寝ても覚めても仕事とゲームの毎日。充実していたものの、大きくルーティンが変わることのない日々を過ごしていました。

5年ほど前、たまたま居酒屋で隣同士に座って話をしていた人が、ギター教室に通っていて、「バンドを組んで自分たちでライブも企画したいから、一緒にバンドをやろう!」と誘われました。
もともと、ベースをやりたいという思いはあったものの、ちょうど会社も経営状態が厳しく、「バンド活動なんてやっている時間はあるのだろうか!?」と一瞬躊躇しました。

それに、楽器の経験といえば、自宅でアコースティックギターを軽く弾いていたくらいで、簡単なコードが読める程度。ライブや発表会などで演奏した経験はありません。

――でも、忙しいことを言い訳に先送りしていたら、人生終わってしまうな……。

そう考えて、その場でバンドを組むことを快諾。子どもの頃からビートルズが好きで、「曲の雰囲気を作るのはベースだな、カッコいいな。いつか、ポール・マッカートニーの曲を演奏したい!」と思っていたこともあり、ベースを担当することにしました。後戻りしないよう、その勢いのまま、わりと高価なベースを購入し練習を始めました。

バンドを始めると、生活が一変。どんどん仲間が増えていき、ライブにも誘われるようになりました。さまざまな曲を覚えて、練習して、仲間とスタジオに入って演奏する。何よりライブで緊張しつつ演奏する体験は、とてもエキサイティングで、それが年に何回もあるのです。バンドを始めてから、1年が長く感じるようになりました。
毎朝、出勤前にベースを練習するのが日課です。同年代の仲間たちとの「イケオジバンド」など、複数のバンドを掛け持ちして土日はベースライフを楽しんでいます。 1日1日をいかに楽しく過ごすか。その大切さを音楽が教えてくれました。
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