小口さんショート

私の人生で最も大きな決断は、新卒で入った企業を1年で退社してフリーランスのライターになったことです。遠い過去の話です。

バブルが崩壊しつつある中、テキトーな就職活動で入ったのは、ちょっと特殊な業態かつ、まあまあブラックな企業でした。会社自体は儲かっていましたし、初任給も残業代込みで手取り30万円ぐらいありましたが、「やっぱり、やりたいことやるわ」と退社を決意。雑誌の編集部に「会社やめるんで仕事ください」と電話しました。

ライターになってしばらくは月収が数万円というレベル。「何とかなるでしょ」と楽観視していたのは、若さもあったでしょうし、まだバブル時代の思考を引きずっていたのかもしれません。でも、結果、何とかなりました。そういえば、会社を辞めると決めたとき、貯金を下ろして車を買いました。あれも今思えば「決断」でしたね。

しかし、歳を重ねたせいでしょうか、ここ何年も決断していません。正確には、大きな決断はしなく・できなくなった。ただ、最近は日常の小さな決断も人生を作るのではと思っています。面倒くさいと思っているけど新しい場所に出かけてみる、酒を飲み過ぎない、酔ってセクハラしない(笑)、羞恥心を捨てて企画書をメールする、なんてのも決断ではないかと。今後、清水の舞台から飛び降りるよう決断もあるかもしれませんが、「めんどくせーけど、今日も板を張るか」と日々の小さな決断の積み重ねで舞台ができあがる。そんな小さな決断の力も信じたいんですよね。

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