あかねさんショート

33歳のとき、担当医師から卵巣の全摘出を勧められた瞬間、こう答えている自分がいました。
「先生、ちょっと待ってください!」
結果的に、全摘出はせず温存を決めました。

20代で結婚し、2人の子どもを授かりましたが、すぐに離婚。以来、シングルマザーとして子どもを育ててきました。
33歳のある日、道を歩いていたら急に腹部を激痛が襲いました。これは、尋常じゃないな……。
すぐに病院に行ったところ、「左卵巣に腫瘍がある」と言われました。卵巣の腫瘍の多くは良性だけど、摘出するまでわからない、と。

目の前が真っ暗になりました。
実は20代の頃に生理痛が重く婦人科で診察を受けた際に、子宮内膜増殖症であること、さらには右卵巣に大きなチョコレートのう腫(子宮の内側にあるはずの子宮内膜が、卵巣に発生することで起きる子宮内膜症の1つ)があると医師から言われていたのですが、日々の忙しさにかまけて放置していたのです。あのとき精密検査をしていれば……後悔先に立たず。

診断を受けて半年後、左卵巣にある腫瘍の一部切除と、子宮内膜の掻把(そうは)手術を受けました。幸い、腫瘍は良性だったのでホっとしたものの、チョコレートのう腫はまだ残ったままです。
先生の話では、チョコレートのう腫は閉経後、100人に1人は、がん化する可能性があり、のう腫部分を切除したとしても、3年以内には3割が再発してしまう、とのこと。 この卵巣がある限り、がんのリスクが付きまとう――。

それでも、手術後に先生から全摘出を勧められたとき、すぐに「ちょっと待ってください!」と言ってしまいました。
「もう2人子どもいるよね?」と怪訝そうな先生。
そうだけど。それは違うよ、先生、と強く思う自分がいた。

「でも、ワンチャンあるかもしれないじゃないですか!」

悩んだ結果、私は温存を決めました。
母であると同時に、私は女です。もしこの先出会った男性が子どもを望んだら、私は産みたい。ギリギリまでその可能性を残しておきたいと思ったのです。

今は薬を服用しながら経過観察を続けています。40歳を過ぎてもし卵巣に腫れが見られるようなら、そのときは摘出の覚悟を決めようと思っています。
あと3年。今なお絶賛パートナーを募集中(笑)の状況ですが、希望は捨てていません。

婦人科系の疾患は出産年齢と同時期に罹患することも多い。大事なのは、早期に発見すること。だから、若いうちから定期的に検診を受けてほしいと思います。

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