吉松良平

6年前、それまで展開していた塗装事業者13店舗のフランチャイズを縮小し、塗装職人の短期育成支援を事業の主軸に切り替えました。

高校卒業後、「自立したい」「実力を試してみたい」と考え、自衛隊へ入隊。陸上自衛隊普通科連隊で2年間勤務しました。自衛隊は、未経験者が3カ月で銃の組み立てや分解をマスターし、上司の助言で走り幅跳びの結果が1mも変わる世界。数値で管理された明快さと成長の実感を得られる日々は充実し、後期教育で最優秀隊員賞を受賞。幹部候補生への道が拓けていましたが、昔から抱いていた独立の夢を叶えるべく除隊。まずは営業力を磨こうと外装リフォーム事業会社に応募しました。

「3年後に独立しますが、御社に多大な利益を与えるので採用してください!」

面接官は唖然とした様子でしたが、熱意を買われて無事採用。トップ営業マンにお願いして営業トークを録音させてもらい、自らオリジナルのマニュアルを作成。入社4カ月目でトップ営業になることができました。

手ごたえを感じて23歳で独立。元請け99%とし、営業会社を介さず、職人を直接現場に派遣する外装リフォーム事業者としてノウハウを整え、フランチャイズ化に成功。13店舗を展開しました。ところが安全のためのさまざまな施策も休憩時間も守らない、毎月「7」のつく日は賭け事にいいからと欠勤する、新人を育成する文化がない、お客様のことを考えない……、そんな業界の悪しき慣習が次第に目に余るようになっていました。

「自衛隊だったら、こんな部隊は有り得ない…」

脳裏をよぎったのは、未経験者を短期でプロに育てる自衛隊の仕組み。お客様に喜ばれる仕事、家族に誇れる仕事がしたい。独立した時の気持ちを思い出し、フランチャイズを4店舗まで縮小、きちんとした短期育成プログラムを作り込むことに決めました。

スポーツ強豪校や自衛隊上がりの人たちを主軸に、「週休2日で年収1000万円を目指せる!」と謳(うた)って職人見習いを募集。動画マニュアルを作成し、自身の習熟度も見える化するため、半年に一度は知識・技術の両面で試験を実施。質の高い人材を現場に送り込める体制を整えました。

業界の組合組織からは異端児扱いされ、店舗数を縮小したことで売り上げも7割減という厳しい状況からのリスタートでした。でも、そもそも私が独立したいと考えたのは、生まれた意味を残したいと思ったから。少しずつ売り上げもついてきて、業界に一石を投じることもできた。あのときの決断は間違っていなかったと確信しています。


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