鈴木早苗さんショート

2012年、発達障がいをはじめ、さまざまな特性を持つ子どもの育児で悩むママをサポートするため、児童福祉施設「セカンドハウス彩祐結」を立ち上げました。

結婚を機に女性が出産後も長く働ける仕事をしたいと考え、高齢者施設でケアマネジャーとして働き始めました。27歳で長男を出産。はじめての育児でしたが、長男は幼稚園のときからよく動き、私と目が合わないなど気になる点がありました。幼稚園の先生の紹介で自治体の相談会に行き、その後病院で「アスペルガー症候群」と診断されました。

夫は子育てに協力的ではなく、ワンオペで子どもと向き合う日々。トラブルがあって学校から呼び出しの連絡が入ったり、長男が同級生を叩いてお相手の子の家へ謝罪に行ったりすることもあり、心身がすり減っていきました。

――このままだと、息子と一緒につぶれてしまう……。

決断というよりも、ただこの苦しい毎日から抜け出したい一心で、民間の学童保育として「セカンドハウス彩祐結」を立ち上げました。
小学校は義務教育だから仕方ない。でも、放課後の学童でも周囲になじめず、先生に注意されてしまう長男が不憫でした。私と子どもがリラックスして過ごせる場所、かつ同じような境遇にいる親子の居場所を作りたいと考えたのです。

家の近くに一軒家を借り、300万円の融資を受けました。生まれてはじめての多額の借り入れです。契約書に印鑑を押すときは緊張して手が震えました。

最初は民間サービスとしてスタートしたため、資金繰りが厳しく利用者の負担も大きいのが課題でした。ちょうど2012年に改正された児童福祉法改正によって始まった放課後等デイサービスの支援制度の申請が通ったため、障がいのある利用者は自治体の支援を受けられるようになりました(障がいのない方は学童利用)。

いまは山形市嶋南(しまみなみ)に2軒と江南に1軒の施設を運営しています。保育士や児童指導員のほか、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など専門資格を持つスタッフが個別支援計画に沿って、児童1人1人に合った療育支援を提供しています。

2023年6月からは全国のママを対象に「ママリンク・オンラインサロン」をスタート。子育てに悩むママたちがつながり、相談し合えるほか、発達障がいなど難しい育児に悩むママたちと専門家をつなぐようなサポートをしています。
さらに、全国に当施設のような親子の居場所が増えれば、育児に悩むママを1人でも多く救えると考え、福祉事業者へのコンサルティングも始めました。

セカンドハウス彩祐結を立ち上げた後は、施設のスタッフに支えられたおかげで長男の子育てに余裕が生まれました。息子はいま社会人になり、県外で元気に暮らしています。息子にとってもセカンドハウス彩祐結は第2の実家のような存在で、帰省すると必ず施設に顔を出します。

育児に悩む親子に「ここがあって良かった」と思ってもらえるサービスを提供し続けていきたい。これからも全力で走り続けます。

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