10年続けたアパレル企業を辞めて鍼灸の専門学校に通い、2022年10月、鍼灸室をオープンしました。
家族と折り合いがうまくいっていなかったわたし。高校3年生の夏に家出をし、当時付き合っていた5歳上の彼氏と同棲を始めました。高校を退学した2カ月後に妊娠し、翌年元気な男の子を出産しました。その後、結婚して家族3人で暮らし始めましたがうまくいかず離婚して、実家に戻りました。子どもが2歳になると居酒屋やパチンコ店などでアルバイトを始め、友人が勤めていたアパレル会社に誘われてアルバイトとして入社することになりました。
もともと洋服に興味を持っていたこともあって仕事は楽しく、マネージャー職にも昇格。店長を目指していた時期もありましたが、「オーバーナイト」という夜勤勤務は23:00出勤で翌8:00退勤という過酷な仕事。これを60歳まで続けていくのは難しいと感じていた矢先、区のシングルマザー支援策の1つとして、資格取得を助成する高等訓練サポートというものがあることを知りました。国家資格で手に職をつけられること、鍼で身体をケアすることができるという東洋医学の世界に魅了され、専門学校の夜間部への進学を決意。アパレル会社を退職し、日中は派遣の事務員として8:30から16:00まで働き、その後、図書室に行って鍼灸の自主勉強。18:30から90分の授業を2コマ受けるという生活を3年続けました。「壊れる前にケアする」という東洋医学の哲学に惹かれてのめり込んだ結果、専門学校を主席で卒業。理事長賞もいただきました。
その後、鍼灸を扱う整骨院で修業したのち、2022年10月、プライベートサロンとして東京・乃木坂に「おと鍼灸室」をオープンしました。
鍼灸の世界はまだまだ認知度も低く、身近なものではありません。鍼灸の魅力をより多くの方に知っていただき、体験していただきたいと思うとともに、鍼灸で「性」の悩みも解決できることも知ってもらいたい。実は、鍼は婦人科系の悩みやPMSの悩み、性機能障害などにも効果があると言われています。プライベートサロンにしたのは、そんな悩みもプライベートな空間で相談できるような場所にしたいと思ったから。まだまだ、オープンしたばかりでさまざまな課題がありますが、人々の悩みに日々寄り添いながら、鍼灸の世界を広めていけたらと思っています。