泊さんショート

部長までの経験しかなかった私が、2021年に社長業にチャレンジしたこと。それが私の決断です。

長崎市で生まれ育ち、甲子園を目指す野球少年でした。高校3年で念願の甲子園大会に出場できたことが、いまでも私の自慢です。高校卒業後は指定校推薦で大学に進学し、そこではじめて勉強の楽しさに目覚めました。
――野球と同じで、毎日コツコツ頑張れば結果が出るのが面白い!
両親が公務員だったので、自分も同じ道を進むのだろうと思っていたのですが、「人と違うことをしたい」と考えるようになり、卒業後はイギリスの大学院で語学と経営を学びました。

帰国後、海外駐在員を募集していた大手印刷会社に入社するものの、社風が合わず1年半で退職。経営コンサルティング会社で5年働いたところ、事業会社で現場を経験したいと考えるようになり、外資系カード会社やゲーム会社、地元長崎のテーマパークのハウステンボス、旅行会社と渡り歩き、カナダのトロント駐在も経験しました。

カナダから帰国した後はスーパーマーケットを展開するウォルマートジャパンでマーケティング及び経営戦略の部長を任され、経営にも携わりました。しかし、ウォルマートが日本から撤退することに。そんなとき、過去に登録していた転職エージェント経由で、たまたま「ドイツのスポーツテック企業とイオンの合弁会社の社長のポジションで働かないか」というスカウトを受けました。スポーツ用品をECで販売する会社で、社員数は20人ほど。心が動いたものの、部長までしか経験したことがなかったため、「自分に務まるだろうか」と不安で、即決できませんでした。
さらに、新卒で働いた大手の日系企業が肌に合わなかったことを思い出し、イオンの社風に自分が馴染めるだろうか、という不安もあり、かなり悩みました。
それでも、「自分の成長のために、社長を経験してみたい!」と強く思い、挑戦してみることにしました。

2021年に社長に就任。やはり部長と社長とでは役割として求められるスキルがまったく違いました。社長は社員のモチベーションを高め、いかに動いてもらうかを考えながら、数々の意思決定をしていかなくてはなりません。常にプレッシャーを感じながらも、覚悟を決めて社長業をこなしていきました。
その結果、3年半で売り上げは4倍に拡大。経営が軌道に乗ったところで、さらに社長として成長したいと考え、2024年12月からは美容機器の企画・製造・販売の株式会社リッシュプラスと、脱毛サロンを経営する株式会社リンリンの社長に就任しました。この2社は元々オーナー企業だったのですが、後継者がいないためにPE(プライベートエクイティ)ファンドの傘下に入っており、業績を拡大させることが私の役割です。

社長になって、社長業とはつくづく人間力が問われる仕事だと感じています。これまで1つの会社に長く勤めることができなかったのも、自分自身が仕事をあまり好きではなかったからだと気づきました。何のために働いているのか、目的を見失った時期もありました。でも、社長になって、仕事が好きになったんです。それは、社員が成長し、会社の売り上げや利益に結び付いていくことにやりがいを感じているからです。この先もずっと、企業経営に携わっていきたいと思っています。

(構成/尾越まり恵)

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