ゆうこさんショート

29歳のとき、関東から逃げるように地方都市へと向かいました。「決断」と言えるほどカッコいいものではありません。ただ、自分の行動に嫌気がさして、東京を離れたくなったのです。

ひとり娘で、親に厳しく育てられました。子どもの頃から「怒られたくない」がモチベーションのベース。中高一貫の女子校を出て、大学では人生初の恋愛を謳歌するはずだった。でも、全然モテない……! コンプレックスが募っていきました。

社会人になってからも、好きな人はできるもののセフレ止まり。「私はかわいくないから彼氏ができないんだ」と思い込んでいました。 新卒で入った会社を26歳で退社し、憧れだったカルチャー関係の仕事に就きました。数年後にキャリアアップを目指して転職したものの、そこの上司に怒られまくります。人格全否定。センス全否定。仕事のストレスと、根底にあったコンプレックスとが合わさって、私の中で何かが「パン!」とはじけました。

そこからセックス依存症になり、知り合いや街で出会った男性たちと体を重ねました。性行為は自分を肯定できるとても効率のよい方法でした。しかし、そんなことを繰り返していると、心も体も、何より人間関係が破たんします。全てをリセットしたくなり、知人に誘われるまま、私は地方都市へと向かいました。

生まれ育った関東をはじめて離れ、新たな人生を歩み始めました。いま住んでいる街の空気が私にはよく馴染み、居心地の良さを感じています。
カウンセリングを受け、自分のコンプレックスと向き合うこともできました。いまなら、容姿ではなく自分の考え方に問題があったのだとわかります。それでも、自分から関係を持ち、追ってくる男の人を捨てるくらいのことをやらなければ、心に深く根を張るコンプレックスを乗り越えることはできなかったのではないか、と思います。

今でも完全に乗り越えたわけではありません。時々、自信のない自分が顔を出す。それでも、コントロールできなくなるほど落ちることは、もうありません。

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