前田扶美子

自分を大切に生きよう、と気づいた50代、世代が変わるこのタイミングで、新たなことに挑戦してみようと、ミセスコンテストへの挑戦を選択しました。

振り返ること、大学卒業後は、バブル崩壊後の不景気で就職先が難航、唯一採用してもらえた求人広告会社で広告営業として勤務。重い求人誌の持ち運びや勤務時間の長さでの疲労で、椎間板ヘルニアを患って退職したのち、イベント関連の人材派遣会社へ転職。アルバイトから入って契約社員となり、約11年間勤務しました。イベントキャンペーンの人材派遣という仕事柄、土日・祝日も関係なく働きますし、時間外に急ぎの連絡が入ることもあります。それでもやりがいをもって仕事を優先してがむしゃらに働いていましたが、心身ともに限界を感じ、40代で市の臨時職員へ。気が付けば50代に突入していました。

そのときふと、自分の親が50代のとき、自分が大学を卒業して就職するぐらいの年齢だったことに気が付きました。「このままの生活の送り方でいいのかな」と悩んだあたりから、寝つきの悪さやホットフラッシュなどの更年期症状にも苦しむようになっていました。また、母が体調不良で入院し、診察の結果、糖尿病と甲状腺腫瘍が発覚。あわせて軽度認知障害であることもわかり、介護認定を受けました。これからは自分のことだけではなく母の生活全般のサポートをしながらの生活になることが予測できたため、家庭の事情を相談しながら働ける派遣会社への転職を決めました。

しかし、優先度を母におき、自分のやりたいことを我慢して生活すると、自分の気持ちのバランスが崩れて、人の気持ちに立って考えることも難しい……。そう考え始めたある日、ミセスコンテストに出場したという知人の話を耳にしました。普段のメイクは落ち着いた感じで、地味な雰囲気のいわゆる普通の人が、コンテストに出場した途端にどんどんきれいになって変わっていく姿を見て、一般人でもチャレンジできるんだ! わたしも変わりたい、輝きたい! と思い切って出場を決意。書類審査を経て北海道大会に出場したところ、30代以上の未婚女性部門「ゴージャス部門」でグランプリを獲得することができました。審査のプロセスを経て新たな自分の可能性も見出すことができました。

コンテストには年齢の制限もなくミセス、ミスターはもちろん、トランスジェンダーの方も応募ができています。過去その大会では99歳の女性が出場し、義足の方がヒールを履いてランウェイを歩いていました。これまで、「○○になれたらこれをしよう」と、どこか自分に条件を課して生きてきたわたし。「わたしなんかが」と思い、人にどう見られるかを気にしてばかりいました。でもコンテスト出場を1つのきっかけとして、思い立ったときにしか何かを踏み出すことはできない、やりたいときがやるタイミングなのだと思うように。自分の変化や環境の変化など、自分にはどうにもできないさまざまな要因が常にある世の中で、「○○になったら」と思っていたらずっと変われないのではないか。人からどう見られるかよりも自分自身がどうありたいか、「わたしはわたし!」と思うことの大切さを感じることができたのです。

自分が本当にしたいことは何なのか、なりたい自分はどういう姿なのか。健康や美容への意識も変わりましたし、「自分を大切にして生きる」ことがいかに大切なのかも学ぶことができました。何かに挑戦するのに、制限なんてない。年齢や環境などで二の足を踏んでいる方々いるとしたら、「そんなことはないよ、人生の主役は自分!いつだって、チャレンジできるよ」と背中を押してあげたいと思っています。

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