きょうちゃんショート

「私、本当は吹奏楽部に入りたいんです」

中学1年の夏、担任との個人面談でポロっとこぼした一言が、私の人生を変えました。私は小学4年生から毎日テニスに明け暮れていて、日に焼けた真っ黒な女の子でした。学校の中でも外でも一緒にいるのは、同じく真っ黒なテニス仲間たち。まさか自分が文化部に入るなんて1ミリも考えていませんでした。

吹奏楽に興味を持ったきっかけは、中学生になって間もなくのこと。私は当然のごとくテニス部に入ったのですが、テニスコートのすぐ隣が吹奏楽部の練習場だったのです。コートに立ちながら横から聞こえてくる音楽にどんどん心を奪われていきました。

私の告白を聞いた先生は優しく「今しかできないことをやりなさい」と言いました。当時13歳の私にとってはテニス部が世界のすべて。そこを一人で抜け出して、新しい世界で未経験のことを始めるのはとても大きな挑戦です。間違いなく、私にとって人生最大の決断でした。その後、吹奏楽を通して出会った仲間や恩師、喜怒哀楽の思い出はすべて私の一生の宝物です。

あのときの先生の言葉は、今でも私の人生の指針になっています。そして、13歳の自分の勇気を私はずっと忘れません。

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