豊福圭代

2022年8月、「子どもにも、子どもを育む大人にも心地よい社会を目指す」を理念に、家庭や学校、保育園、産業分野のソーシャルワーク、カウンセリングやコンサルティングなどを手掛ける株式会社ソーシャルワーク福岡を立ち上げました。

長崎県の離島で育ち、人と人とのつながりを感じながら温かな家庭でのびのびと過ごした幼少期。姉が社会福祉の仕事をしていたこともあり、大学進学時には社会福祉学科を専攻しました。卒業後、医療福祉センターで相談員として約10年勤務したのち、2009年に結婚、翌2010年に第1子を出産しました。その後、夫の仕事の関係で引っ越し、病院のソーシャルワーカーに転職しましたが、またすぐに夫の転勤が決定。せっかく勤め始めた仕事を辞め、東京へと移り住みました。

新宿にあった自宅マンションの13階からは、東京タワーや富士山がよく見えました。、それは観光で来ていたらきっとその美しさに感動しただろう景色。しかし、知人のいない孤独な育児の中、私は富士山の向こうに沈む夕日を見ながら、毎日込み上げてくる涙を抑えるのに必死でした。

限界を感じたのは2人目の出産時。激務だった夫はそのとき、大阪に1週間の出張に出かけていました。不安な気持ちをひた隠し「大丈夫、何とかなるから行ってらっしゃい」と笑顔で送り出しましたが、たいして親しいわけでもない隣人や会ったこともない遠い知人を頼って何とか上の子どもの面倒をみてもらうようお願いし、自力で病院に向かうのは本当に大変なことでした。

「寂しい」「苦しい」と言わずに耐え忍ぶことが美徳だと思っていた当時の自分。この一件を機に、何を軸にして生きていくべきなのかを考えさせられました。この頃、心の拠りどころとなったのは、児童館でお母さんたちと話すこと。お母さんたちの話を聞いていると自分のこともよく見えてきましたし、ソーシャルワーカーとしての知見を活かしながらお母さんたちの役に立てることで自分自身も救われていました。

東京での3年間の生活が終わり福岡に戻ってきた私は、産前産後の母親の相談支援の仕事を始めました。家庭の悩みは千差万別であり、公的なサービスだけでは追いつけません。
今後は会社を大きくし、家庭や組織に入り込み、そこのチームの一員として手助けができる人を増やしていきたい。オンラインコンテンツを作り、フリーランスのソーシャルワーカーを育てることにも挑戦したい。

より軽やかに、より楽しく。そんな働き方ができる社会が理想です。「こうあるべき」でなく、「こうだったら楽しい」を軸に生きていくためのお手伝いを今後も続けていければと思っています。


ソーシャルワーク福岡 note
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