竹田さんショート

2016年、シングルマザーの自立をサポートするため、家族同士が助け合って暮らせるシェアハウスを開業しました。

私自身も、2人の子どもを持つシングルマザーです。離婚したのは31歳のときで、子どもはまだ小さかった。

―――私に何かあったら、子どもたちはどうなってしまうのだろう……。

30代は、常に経済面や健康面での不安を抱えながら過ごしていました。生活を安定させるためにがむしゃらに働き、39歳で培ってきた不動産事業の経験をもとにめぐみ不動産コンサルティングを起業。私と同じように不安を抱えながら子育てをしているシングルマザーに対して、何か力になりたいと考えたのが、起業に踏み切った一番の理由です。

2015年当時、子どもの相対的貧困が社会問題としてたびたび報じられ、全国で子ども食堂が立ち上がってました。「私にできることは何だろう」と考えたときに思いついたのが、シングルマザー同士が支え合って暮らせるシェアハウスです。ひとり親が子育てしながら働ける環境を作り、経済的自立を支援したいと考えたのです。
たまたま良い物件との出会いがあり、起業の翌年に神奈川県伊勢原市に1棟目のシェアハウスを開業。しかし、地方ではシェアハウスそのものの理解が浸透しておらず、シングルマザーの入居はあまり進まず、入居者のほとんどが単身者という状況が続きました。

しかし、コロナ禍で状況が一変。家庭内暴力などに苦しみ、家にいられなくなった母子が居場所を求めて訪れるようになったのです。いまは2棟10室が満室の状態で、そのうち半数がひとり親家庭の入居者です。
不動産オーナーがシングルマザーの入居を渋りがちなのは、家賃滞納を危惧しているからです。しかし、当社では一度も家賃の未払い問題は起こっていません。それは入居前から会話を重ね、入居者との信頼関係を構築しているからだと思います。

支援を始めてわかったのは、住まいだけではシングルマザーの悩みは解決できない、ということ。仕事をしていなければ、保育園の申請時に優先順位が下がります。一方で、仕事の面接に行くと「子どもの預け先は決まっていますか?」と聞かれてしまう。そんな負のループを解消するため、障害者施設を運営する一般社団法人の理事にもなり、シングルマザーの方に家事のスキルを生かして料理や清掃などの仕事をしてもらえる仕組みもつくりました。

7月には空き店舗を活用し、子ども食堂常設の「めぐみキッチン」という食堂を開業します。農薬を使わずに育てた野菜で作った料理を提供し、地域のママや子どもたちの居場所にできればと思っています。

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