2019年、新卒から13年働いた電通を退職し、「デジタルノマド」と呼ばれる新しい働き方を広めることを決めました。
長崎市で生まれ育ち、夏休みはよく祖父母のいる五島列島で過ごしていました。長崎市は地方都市ですが、五島に行くと、長崎から来た私は都会人の扱いを受けるんです。幼少期から、外から長崎市を見る機会があったことで、自然と長崎市の未来について考える習慣がついていきました。
もっと外から長崎を見てみたいと考え、高校・大学時代は旅行やワーキングホリデーでカナダやフランスへ。世界の人たちは被爆地として長崎のことを認識してくれていることがわかりました。
地方の街を世界に発信したい、という志望動機で大学卒業後は電通に入社。高知県のPRプロジェクトを担当したり、政府の広報に携わったり、充実した時間を過ごしました。海外出張も多く、パソコンとスマートフォンとWi-Fiがあればどこでも仕事ができる、いわゆる「デジタルノマド」の働き方をする中で、「多分、これからこういった働き方をする人が増えていくんだろうな」と考えるようになりました。
――自分がフランスやベルギーで仕事をするように、いつか海外の人が祖父母のいる五島で仕事をするようになるかもしれない。
そんなことを想像したりもしました。
ところが、日本では働き方改革が進み、強制的に働く時間が制限されるようになっていきます。その必要性も理解できる反面、柔軟でプロフェッショナルな働き方を阻害される状況に違和感を覚えました。アジア諸国の急成長を見るにつけ、「日本はこれでいいのか?」という疑問も湧き上がっていきました。
組織から時間を区切られる働き方ではなく、自分で自分の働き方を選べる人を増やしたいと考え、会社員を辞めることを決意。入社13年目となる2019年の9月に電通を退職し、まずは好きな場所で好きな人と働けることを目指したプラットフォーム「HafH(ハフ)」を大学時代の同級生と一緒に立ち上げました。
海外から日本の地方都市へデジタルノマドを望む人たちの誘致を推進したいと考え、「デジタルノマドが地域の新しい可能性を広げていく」と自治体に提案したところ、福岡市から新たな事業として受託することになりました。
福岡空港から都市中心部へのアクセスの良さ、アジアへのアクセスの良さが福岡市の大きな魅力です。さらに、福岡は台北・上海・釜山と同心円内にあり、欧米の人たちがアジアを回遊する際の選択肢に入りやすいこともメリットだと感じました。
デジタルノマドをライフスタイルとする海外の人たちは、基本的に2~3カ月間1つの場所に留まって働き、生活します。僕たちが紹介する宿で暮らしながら、地元のスーパーやジム、美容院などに行くので、観光とは違う、生活に直結した消費が生まれます。また、福岡市のスタートアップ企業と海外から来たデジタルノマドの人たちとのビジネスマッチングもできたらいいなと考えています。
世界中のコワーキングスペースなどを回り、福岡に来てもらえるように呼びかけるなど、地道な活動を続け、少しずつ手応えを感じられるようになってきました。2024年10月には海外のデジタルノマドを呼び込むイベント「CoLive Fukuoka(コリブフクオカ)」を開催しており、1カ月かけて海外からデジタルノマドの皆さんを呼び込み、実際に福岡での暮らしを体験してもらう、非常に大掛かりなプログラムになっています。
毎年、自分のチャレンジを5年区切りで見直しながらこれまで生きてきました。今年41歳、2年目の挑戦中です。45歳になったとき、福岡がどんな街になっているのか、そのとき自分は何をしているのか、とても楽しみです。
福岡の事例を、九州全域に広げていきたい。地元長崎市や五島列島にデジタルノマドの人が訪れる、そんな夢が必ず現実のものになると確信しています。
(構成/尾越まり恵)
長崎市で生まれ育ち、夏休みはよく祖父母のいる五島列島で過ごしていました。長崎市は地方都市ですが、五島に行くと、長崎から来た私は都会人の扱いを受けるんです。幼少期から、外から長崎市を見る機会があったことで、自然と長崎市の未来について考える習慣がついていきました。
もっと外から長崎を見てみたいと考え、高校・大学時代は旅行やワーキングホリデーでカナダやフランスへ。世界の人たちは被爆地として長崎のことを認識してくれていることがわかりました。
地方の街を世界に発信したい、という志望動機で大学卒業後は電通に入社。高知県のPRプロジェクトを担当したり、政府の広報に携わったり、充実した時間を過ごしました。海外出張も多く、パソコンとスマートフォンとWi-Fiがあればどこでも仕事ができる、いわゆる「デジタルノマド」の働き方をする中で、「多分、これからこういった働き方をする人が増えていくんだろうな」と考えるようになりました。
――自分がフランスやベルギーで仕事をするように、いつか海外の人が祖父母のいる五島で仕事をするようになるかもしれない。
そんなことを想像したりもしました。
ところが、日本では働き方改革が進み、強制的に働く時間が制限されるようになっていきます。その必要性も理解できる反面、柔軟でプロフェッショナルな働き方を阻害される状況に違和感を覚えました。アジア諸国の急成長を見るにつけ、「日本はこれでいいのか?」という疑問も湧き上がっていきました。
組織から時間を区切られる働き方ではなく、自分で自分の働き方を選べる人を増やしたいと考え、会社員を辞めることを決意。入社13年目となる2019年の9月に電通を退職し、まずは好きな場所で好きな人と働けることを目指したプラットフォーム「HafH(ハフ)」を大学時代の同級生と一緒に立ち上げました。
海外から日本の地方都市へデジタルノマドを望む人たちの誘致を推進したいと考え、「デジタルノマドが地域の新しい可能性を広げていく」と自治体に提案したところ、福岡市から新たな事業として受託することになりました。
福岡空港から都市中心部へのアクセスの良さ、アジアへのアクセスの良さが福岡市の大きな魅力です。さらに、福岡は台北・上海・釜山と同心円内にあり、欧米の人たちがアジアを回遊する際の選択肢に入りやすいこともメリットだと感じました。
デジタルノマドをライフスタイルとする海外の人たちは、基本的に2~3カ月間1つの場所に留まって働き、生活します。僕たちが紹介する宿で暮らしながら、地元のスーパーやジム、美容院などに行くので、観光とは違う、生活に直結した消費が生まれます。また、福岡市のスタートアップ企業と海外から来たデジタルノマドの人たちとのビジネスマッチングもできたらいいなと考えています。
世界中のコワーキングスペースなどを回り、福岡に来てもらえるように呼びかけるなど、地道な活動を続け、少しずつ手応えを感じられるようになってきました。2024年10月には海外のデジタルノマドを呼び込むイベント「CoLive Fukuoka(コリブフクオカ)」を開催しており、1カ月かけて海外からデジタルノマドの皆さんを呼び込み、実際に福岡での暮らしを体験してもらう、非常に大掛かりなプログラムになっています。
毎年、自分のチャレンジを5年区切りで見直しながらこれまで生きてきました。今年41歳、2年目の挑戦中です。45歳になったとき、福岡がどんな街になっているのか、そのとき自分は何をしているのか、とても楽しみです。
福岡の事例を、九州全域に広げていきたい。地元長崎市や五島列島にデジタルノマドの人が訪れる、そんな夢が必ず現実のものになると確信しています。
(構成/尾越まり恵)
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