池田さんショート

2018年、CADソフトで顔のパーツを測定して、数値をもとに黄金比に近づける「骨格補正メイク」を考案しました。

福岡市で生まれ育ち、大学から東京へ。ちょうどテレビ番組の「大改造!!劇的ビフォーアフター」がはやっていた時代で、建築やインテリアに興味を持ち、卒業後はインテリア関連の商社に就職しました。
もっと技術を身に着けたいと考えるようになり、3年で退職しインテリアの専門学校へ。実務経験を積むため住宅のリフォーム会社で働き、38歳で結婚。土日もなく仕事をしていたので、結婚を機に少し仕事から離れようと思って退職したタイミングで、愛犬が死んでしまいます。
悲しみを癒すために私は食に走ってしまい、ポテトチップスやアイスクリームなど、カロリーの高いものをひたすら食べては寝る、そんな生活を3カ月ほど送った結果、ふと気がつくと、変わり果てた姿の自分がいました。15キロも太ってしまったのです。

病み上がりでどんよりと覇気のない表情もあいまって、周囲からは「太った暗いおばさん」という見られ方をされるように。それまでずっと標準体重だった私は、人生ではじめて外見差別を経験したのでした。

なかなか痩せられずに悩んでいたときに、パーソナルカラー診断の存在を知ります。「太っていても似合う色を着れば綺麗に見えるかな?」と、安易な考えで習ってみることにしました。どうせ習うなら自分でも教えられるようになれたらと講師コースに応募。その後、ファッションのコーディネートを学び、そこでカラーとファッションコーディネートに加えて、似合うメイクまで教えられる「イメージコンサルタント」のような仕事ができればニーズがあるのではないかと考えました。
そうなると、足りないのがメイクの知識です。すぐに有名女優のメイクを長年手掛けてきたメイクアップアーティストのスクールに通い、メイクを習いました。

最初は自宅をサロンにして、カラー、ファッション、メイクをトータルでコンサルしていたのですが、やはりメイクが一番喜ばれます。
そこで、メイクに特化して銀座にサロンを開設。数人を集めた講座で、メイクを教え始めたのですが、すぐにある悩みが生まれました。アイラインの引き方、眉毛の描き方は、顔やパーツのつくりによってそれぞれ異なるため、私が1人1人にアドバイスをしていると、「隣の人と違うこと言われたけど、なんで?」「何を根拠にアイラインを延ばしてダメと言われるんだろう?」とザワついてしまうのです。
もちろん根拠があるのですが、人前で「あなたは目が少し離れているから」なんて言えません。どう見ても面長なのに、自分は丸顔だと思い込んでいる人もいます。

――相手を傷つけずに、根拠を伝えるにはどうすればいいんだろう。

そう考えて編み出したのが、「骨格補正メイク」でした。インテリアの仕事で使っていたCADソフトを使って、顔の写真を2D(平面)で読み込み、顔の長さや目の位置など顔のつくりをすべて計測します。こうして数値をもとにすれば、誰も傷つけずに正確に伝えることができます。

2018年には一般社団法人を設立。いまは東京・浅草で個人向けのメイクレッスンをしながら、骨格補正メイクのアドバイザーの養成も始めました。
美しくなるには、外見だけでなく行動習慣や姿勢、マインドなどがトータルで大事です。その中でもメイクは大きな力を持っています。顔にコンプレックスを持っている人、加齢により自信を失った人が、メイクによって自信を取り戻し、新しいことにチャレンジできるようになるのをたくさん見てきました。骨格補正メイクをきっかけに、自分が望む人生を手に入れるお手伝いをしていきたいと思っています。

(構成/尾越まり恵)

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