36歳のときに、店舗販売員からまさかのモデルへと転身しました。
思春期に入った頃から「モテたい!」という気持ちが強くなり、それに伴って洋服選びも意識するようになりました。高校生になると良いもの、限定ものへの興味も強くなり、部活の合間をぬってアルバイトしたり、お年玉を貯めたりしながら洋服にお金を費やすように。その後は高校生から始めてのめりこんだアメリカンフットボールの夢が破れ、大学も中退。次に好きだったファッション関係の仕事に就きたいと考え、古着店やリユースショップなどを転々としていましたが、どこも長続きはしませんでした。
そんな24歳のある日、親族の結婚式があるというので来ていくスーツがないかと家中を探していましたが、クローゼットの中には着られるスーツがありません。このとき、3L~9Lまでの大きいサイズを展開している坂善の新聞折り込み広告をたまたま見つけて店舗へ向かうことに。家から近かった神奈川県川崎市の店舗に訪れてみると、当時188㎝・120㎏だった自分にも洋服の選択肢がたくさんあることに感激。まるで巨人の国! 服選びの楽しさを久々に思い出すとともに、試着を重ねるごとにその感動があふれてきました。
スーツを決めて会計をする際、レジ下にあった「アルバイト募集」のポスターを見つけた僕は、その場ですぐに電話をかけ、その翌々日には面接を、その4日後にはグランドオープンするという横浜市上大岡の新店舗に配属となり働き始めていました。
働く前に漠然とあった根拠のない自信は、働き始めると確信に変わりました。大きいサイズの洋服を売るなら、店員も大きいサイズを着ているほうがいいに決まっています。説得力もありますし、捉えられ方も違う。「加藤さんが言うなら買おうかな」とお客様にもどんどん気に入っていただくことができ、活躍の場が広がって数字もついていきました。アメフト以外にも体が大きいことが武器になることがうれしく、大好きなアパレル業界で働けることにも大きなやりがいを感じていました。
勤続10年ほど経った頃、CEOが3代目に交代し、社内の大改革が始まりました。それまで坂善では紙媒体を中心としたアナログ広告やマーケティング戦略を打ってきましたが、これを機にデジタルへ大きくシフト。その一環としてオウンドメディアの運営が始まりました。「活躍しているスタッフ紹介」のコーナーに選ばれて掲載されると、EC管轄の役員の目に留まり、「うちのプラスサイズモデル(平均より大きな体形の方向け)のイメージにピッタリだから手伝ってほしい!」と依頼を受けました。驚きましたが「気分転換にいいかな」という軽い気持ちで始めてみることに。当時は店舗責任者と自社ECモデルの兼任でしたが、担当役員に気に入られ、モデルの仕事がどんどん増加。週に1度は撮影の仕事が入るようになっていました。
その頃、モデルの仕事を通じて洋服の魅力を、接客を通じて個々のスタッフの魅力は伝えられているけれど、会社の魅力は伝えられていないのでは、と感じることが増えていました。プラスサイズのアパレル展開は他社に先駆けて取り組んできたことですし、何より創業80周年を迎えようとしている老舗企業でもあります。「広報チームを作るべき!」と考えて早速担当役員に直電(笑)。人生初のパワーポイントで資料をまとめ、30分間のプレゼンテーションを行いました。
こうしていま、自社モデルの仕事に加えて、本社でプレス・広報の仕事に携わっています。今後は大きいサイズの事業によりフォーカスしていくとともに、体の大きい人が多いスポーツへの恩返しも含めて、スポーツに携わる体の大きい人と坂善が共創していけるような世界を作っていきたい。そのためにまずは、現在ほとんど「自称」となっている広報という役割も正式に作っていきたい。これからも自分らしく、仕事に取り組んでいきたいと思います。
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