コラム生成AI


皆さん、仕事やプライベートで、生成AIは使っていますか?
ビジネス系メディアのライターという仕事柄、生成AIが世の中に誕生してからというもの、生成AIについて取材する機会が増えました。

生成AIを組み込んだサービスについて取材することもあれば、生成AIを業務に導入している企業の事例取材、はたまた生成AIを活用して成果を出した企業を表彰する「生成AI大賞」なるものの取材など。

初期の頃は、企業も生成AIについては懐疑的かつ及び腰で、「セキュリティが……」、「読み込ませるデータの整理ができなくて……」などの声が多く、ガイドラインの整備が必要ですよね、とか、世界に比べて日本は活用が進んでいませんよね、といった内容を書くことが多かった。でも、この1年ほどは、サービスも活用事例も突出した企業が出てきていて、取材内容もより踏み込んだものになっています。

ほんとに変化が激しくて、目が回りそう。ほんの少し前まで、「データサイエンティスト(データ分析者)」が今後の花形職業で年収が高いなんて言われていたのに、いまは「分析はAIができるから、AIにうまく質問や指示を伝えられる人が必要」と言われています。

活用事例もバラエティに富んでいて、製造業などの工場の自動化にAIが使われているのは当たり前、鉄道会社が遺失物を写真に撮りAIで読み込ませてリスト化しているという話も聞きました。「傘 新宿駅」「財布 秋葉原駅」などと人がチクチク入力する必要はないんですね。

特に、人手不足が深刻な日本においては、HRテック(人事・採用)領域がかなり進んでいて、ニーズも高まっていると感じます。数カ月前に取材したアメリカ本社の大手IT企業では、人事評価にAIを組み込ませていて、部下の評価にアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)に関わる言葉が含まれいると検知してアラートを上げる仕組みを入れているとのことでした。その会社は、全社員が使う基幹システムにもAIを組み込んでいて、社内のもろもろの申請関係の締め切りをAIが個別に通知してくれるんだそうです。ほんと、便利な世の中になったものです。

AI時代に、ライターは生き残れるのか?

ほんで、最近よく言われるのが、これ。

「AIが文章を書いてくれるから、ライターの仕事はなくなるね」

実際、大学の論文や学校の読書感想文の課題をAIに書かせて問題になったりもしていました。たしかにAIは文章は上手ですよ。正しい日本語を使えるし、正直、テクニックでは勝てないと思うこともあります。

でもまぁ、現時点でのAIなら、まだライターとしては負けないかな、と思っています(←急に強気)。

1つは、取材をして書いている、ということです。
情報を寄せ集めて解説を書くような、いわゆる「コタツ記事」は、今後ライターの介在は必要なくなる可能性がありますが、生身の人間の話を聞いて書き起こす作業は、まだAIより上手にできる自信があります。

一瞬の表情、語尾、間。取材はナマモノですから。
同じテーマでも、聞く人が違えば、まったく違う文章ができあがります。そして、話のどこを拾って、どんな順番で組み立てるのか。全体の構成もライターの力量によります。現時点でも、AIに取材音声を読み込ませて取材記事を書かせたら、それなりの文章は上がってくるかもしれませんが、まだまだ人による手直しは必要だと思います。

一方で、先日、ビジネス系メディアの編集者と話していたら、「この数カ月で顕著にサイト全体のPV(ページビュー/閲覧数)が落ちている」と危機感をあらわにしていました。ノウハウや知識補完に関してはAIで調べたほうが早いので、わざわざ記事を読まないのだというのがその編集者の見解でした。特に、「これまでの知識をもとにして書くような解説記事は難しい。取材記事ならまだ価値を提供できるけど、取材は継続していないと、業界や時代の流れをつかめないので、単発で取材してもいい話は聞き出せないよね」と。
それはそうかもなと興味深く聞いていたのですが、今後はメディアのコンテンツとして知識やノウハウを得るものではなく、ますます「人」に焦点が当たっていくのだとすれば、人生のターニングポイントに人が何を感じ、どう動いたのかをひたすら聞いて書いている「わたしの決断物語」は、実はすごく時代にマッチしたサイトなのではないかと急に自信がつきました(ドヤ顔)。

ライターも生成AIを活用しています

AIが取材記事を書くようになるにはまだまだ先のことになりそうですが、現時点でもライターの仕事に生成AIは役に立っています。圧倒的に便利になったのが、AIによる取材音声起こし。もともと「雲」と「蜘蛛」、「端」と「橋」など、同音異義語の多い日本語は音声認識が難しい言語だと言われていましたが、この1~2年で各段に精度がアップしました。
2年くらい前までは、手動で音声を書き起こしてたんですよ……。いまは音声をAIに読み込んでもらうと、数秒で書き起こしてくれるので、それを見ながら原稿を書くことができます。本当にラクになりました。AI音声起こしはさまざまなサービスが出ていますが、ライフメディアではLINE WORKSの「AiNote」を使っています。

LINEWORKS

月300分まで無料。かなり精度高く書き起こしてくれます


あとは、調べものですね。取材前にいろいろな角度から事前の下調べをするのですが、人や企業について、AIに聞くとすぐに情報をまとめてくれるので助かります。もちろん、間違っている情報も含まれるので、うのみにはできませんが、最初のとっかかりにはなります。

たとえば、先日AIエージェントの取材があったので、「AIエージェンについて教えて」というと、「自分で考えて、判断して、行動までやってくれるAIのことです」と答えた上で、普通のAIとの違いを解説してくれ、具体的にこんなことができるAIのこと、と詳しく説明してました。
それで、「じゃあ、チャッピー(ChatGPT)もAIエージェントなの?」と聞くと、
「いいところを突きますね。結論からいうと、今のチャッピーは、半分AIエージェント。条件がそろうとかなりエージェント寄りです。なぜなら……」と、会話をしながら理解を深めることができます。

そのほか、取材者を選定する際に、「〇〇の分野に詳しい識者を教えて」と何人かピックアップしてもらうことも、当たり前の行動になりました。
「怖くない人」「取材を受けてくれそうな人(実績がある人)」「思想がフラットな人」など、いろいろな注文をするのですが、「それだとこの人かな」と適当な人をリストアップして、取材連絡先まで教えてくれます。これは本当にありがたい。

最初の話に戻ると、こんな不確実な時代において、ライターに限らずどんな仕事だってなくなる可能性はあるし、なくならずとも変化を余儀なくされると思うんです。結局は、職業くくりではなく、個人が自分にしかできない仕事をいかにやっていくかだと思います。「AIで仕事なくなるから大変だねー」とマウントをとってくる人こそ、AIにとって代わられますので、要注意ですよー!(←嫌味です)
AIに指示するのも育てていくのも人なので、いかに「共存」していくか、ですよね。依存するでもなく、遠ざけるでもなく、最新のテクノロジーとうまく付き合っていけたらいいなと思っています。

おすすめの記事