本村さんショート

2016年、侍の武術とITを融合した新しいスポーツ「SASSEN」を開発しました。

福岡県北九州市の実家は空手をメインとした武術の道場。僕も3歳から空手を始めました。親が師範で、友達がいるから続けていたけれど、当時は特に楽しいと思った記憶はありません。師範代にはなったものの、中学・高校はバスケットボール部の部活に熱中していました。

大阪の大学を卒業後、社会人になって北九州に戻ってきたときに、「ちょっとやってみるか」と道場へ。久しぶりに空手をやってみたら「楽しいな!」と思いました。そこから道場に来る子どもたちに空手を教え始めました。
あるとき父が柔らかい棒を剣に見立て、子どもたちに護身術を教えていました。それにヒントを得て、ITの力で勝敗の判定がわかりやすく、子どもたちが楽しめるスポーツを作れないかと考えたことから、「SASSEN」のアイデアが生まれました。

SASSENという名前は、「颯爽(さっそう)と風を切るさま」の意味を持つ「颯然(さつぜん)」という言葉から考えました。その他にも、宮本武蔵の二天一流剣術「指先(さっせん)」からヒントを得ています。
ルールはシンプルに、プレイする人も見る人も楽しめることを意識しました。センサーを内蔵した「SASSEN刀」を使って、チャンバラのように一対一で戦います。対戦時間は60秒。センサー付きのサッセン刀を相手の体に当て、2本先取したほうが勝ち。頭部に当てるのは禁止で、攻撃回数は5打までです。
どちらが先に刀を相手に当てたか、アプリで判定ができるシステムになっていて、スマートフォンとSASSEN刀があれば、どこでも誰でも楽しむことができます。

大変だったのは、SASSEN刀の開発です。いろんな素材を試して100本以上試行錯誤を重ねた結果、いまのポリエチレン製のSASSEN刀が完成しました。
2016年に特許を取得して協会を設立。2020年にSASSENを全国に広めるため関東に拠点を移しました。いまは毎週日曜日に、東京・秋葉原で練習会を実施しており、フラっと来ていただければ、誰でもSASSENを体験できます。

2023年9月には東京で第2回SASSEN全国大会を開催し、60人が参加。これまでにSASSENをプレイした人数は1万人を超えました。僕が「これは絶対に楽しい!」と思って開発したSASSENを多くの人がプレイし、楽しんでくれているのが一番の喜びです。これから全国に広げていくとともに、海外でも競技者を増やしていきたいです。

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