悔しかったこと

3月、ShortStoryにご登場いただいた澤田ゆうみさんが愛知県から上京するタイミングで、相棒のきしとんと3人で飲みに行きました。澤田さんは、ハーブティーを食事と掛け合わせて提案する「ティーペアリング」という新しい領域にチャレンジしている、とてもパワフルな女性です。

澤田さんの取材はきしとんがオンラインで担当したので、会うのはみんな、その日がはじめて。お互いの仕事やこれまでのいきさつなどを話す中で、日々壁にぶち当たっているという澤田さんから「これまで悔しかったことはありますか?」と聞かれ、フリーのライターになったばかりの頃に悔しい思いをした経験について、久しぶりに思い出した。

ライターには正式な資格などはないので、名乗ったら誰でもライターになれる。
ライターになって1~2年目の頃、あるビジネス懇親会で名刺交換をしたら、70代くらいのオジサマ(経営者だったと思う)に「君、ライターと名乗ってるけど、どれくらい文章うまいの?」と聞かれた。「俺も文章書くんだよね」と自信ありげに。おまえ、プロを名乗ってるけど、どうせ俺より文章下手だろ、という心の声が聞こえた気がした。
いまなら、「書いた記事を送りましょうか?」くらいは言えるかもしれないけど、当時まだ駆け出しで必死にもがいていた当時のわたしには、この言葉が結構突き刺さった。

フリーランスという働き方をする人は、いまでこそ増えているし専門スキルを持っている人という見られ方もするけど、10年前、30代そこそこの女性で、フリーランスというと、まぁ相当なめられたよね。

ほぼ初対面の人に、「1本いくら? 月にどれくらい書いたら生きていけるの?」と聞かれたこともある。
「大変だねぇー(意訳:俺より絶対収入少ないよね)」と、頼んでもないのにやたら生活を心配された。
でもさ、逆にわたしが「給料いくらもらってるんですか?」と聞いたら答えますか? なぜフリーランスには軽い気持ちで単価を聞いていいと思うのか。

ただ、5年以上経ったあたりから、そういう嫌な思いをすることは少なくなった。
結局、続けるしかないのだ。続けていれば実績もできるし、認めてもらえる。

私の場合は、約10年間のフリーランスを経て、2022年に法人化したわけだけど、「代表取締役」という仰々しい肩書きがついた途端、今度は急に「社長!」「すごいねー」と持ち上げられるようになって、それにも戸惑ったよね。

人からどう見られるかをまったく気にしないのは無理だけど、みんなそこまで考えて発言しているわけではので、気にしすぎる必要はないと思う。むしろ、面白がるくらいでちょうどいい。
過去の悔しい思い出も、こうして酒のネタになっているわけだし。

さて、この日、2時間ほどワインを飲んでほろ酔いになった澤田さんは、
「わたし、天下をとります!」
と力強い言葉を残し、東京駅へと去って行きました。
さすが、信長や秀吉を排出しただけあって、愛知の人はたくましいね!(違)

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