
2013年、NPO法人ArrowArrowで働くことを決めました。
大学卒業後、広告代理店に勤めていた人と知り合いになったことから入社。企画営業やメディアプランニング、執筆から雑務まであらゆる仕事をバリバリこなす日々を過ごしました。同期の女性が結婚や出産を理由に辞めていくことや将来を見据えて働きやすい会社に事前に退職したりする様子に次第に違和感を覚えるように。一方で、当時の私は好きな仕事ができているので、ライフイベントについては考えないようにしようと思っていたのです。
デジタル化の波が訪れると今度はITベンチャーに移ってコンテンツ制作を手掛けるようになりましたが、そこでも出産で退職する女性社員や、産育休を取得し職場に戻ってきたけれど元の部署で働いていない女性社員の様子を見ていました。やりたいことと個人が大切にしたいことは両立できないんだというモヤモヤを抱えるようになりました。
さまざまなモヤモヤを抱えて仕事をする中で、ついにバーンアウト。ITベンチャーを退職しました。そんなとき、東日本大震災が発生。それまで「生きること=働くこと」だった私にとって、突然死に直面するかもしれないという状況に愕然としました。何かできることはないかとさまざまな災害ボランティアに参加するうちに、このような支援活動を生業にしている人たちがいることに気が付きました。この人たちは何者なんだろう、という疑問を覚えるようになった頃、ある復興支援をリードしていた方に「現地で災害支援をすることも素晴らしいことだけど、東京にも社会課題があるはず」と言われてハッとしました。
2011年12月、派遣社員として働く傍らさまざまなNPOが主催するイベントに参加する中でNPO法人ArrowArrowが主催していた「生き方デザイン学」という講座に参加しました。「なぜここに来たのか」「自分自身はどのような課題を抱えているのか」「自分はどのように働いていきたいのか」と自分自身のことについて質問攻めにあいます。いままでぼんやりと感じてきたモヤモヤを吐き出してみると、「そういうことを感じているのは海野さんだけじゃないんですよ」とArrowArrowの当時の代表理事に言われ、「東京にも社会課題がある」と言われた言葉がよみがえりました。
――個人の声はかき消されて表面化しづらいけれど、やりたいこととライフイベントを両立できずに苦しんでいる人たちはいる。自分のモヤモヤは社会のモヤモヤと一緒だったんだ!
そのことに気が付くと一気に働くイメージが広がって、自分もこのNPOに何か携わりたいと感じました。ところが「働かせてください!」と申し入れたところ「職員は募集していません」と即答。そこで、「食いぶちは自分で何とかするのでどんな形でもいいから携わらせてください」とお願いをして、さまざまなプロジェクトを手伝うように。ご縁があってNPO法人に正式に入職する機会となり、代表が不妊治療に入るタイミングで共同代表に。2019年から代表理事を務めています。
NPOという存在に触れることなく30年程生きてきましたが、自分が社会課題の一部となっていることすら気づきませんでした。しかし、自分自身がNPOに携わり始めて、出産、育児、生理、更年期など、女性が働くにはさまざまな壁があるのだと気が付くとともに、それをサポートするサービスや団体が無数にあることも知りました。2025年6月にはこれまで挑戦したいと思いながら着手できていなかった「働く女性のためのサポートマップ」をローンチ。女性の困りごととそのソリューションをPDFデータで閲覧できるビジュアルマップを半年以上かけて作りました。
現在は関東中心のサポート・支援の紹介になっていますが、地域ごとに特性があることも理解できたので、今後は地域版も制作していきたいと考えています。女性にとって、ライフイベントがさまざまなハードルになることもありますが、支えてくれる事業やサービスがたくさんあることを知っていたら、もっと人生の選択肢を増やしていけるはず。これからもそう信じて、啓発活動を進めていきたいと思います。
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