大野 宗

2021年12月20日、社員への福利厚生の一環として、無人島を購入することを決めました。

土曜日の朝にテレビ放映されていたF2シリーズを視聴したことをきっかけに車好きになった私。マシンを購入してレースに出場するために学生時代は露天商として働いたり、喫茶店でアルバイトをしたりしていました。しかしカーレースはとにかくお金がかかります。それに片山右京選手が駆け出しの頃に乗っていたFJ1600のあまりの速さに驚くとともにレースの世界でステップアップしていく難しさを悟り、プロのレーシングドライバーになる夢を諦めました。

大学卒業後はカーボン紙の製造販売を手掛ける上場会社で生産管理の仕事に就きましたが、露天商として桃売りなどをしていたときの稼ぎや仕事としての面白さが忘れられず、35歳のときに脱サラし、36歳で独立しました。

実は学生時代にアルバイトしていた喫茶店は、衛生害虫(※ごきぶり、以後Gと表記)の多い店で本当に困らせられました。中華鍋で調理していると天井からGが落ちてくるような店だったため、当時からG駆除の仕事に興味を持っていた私。そこで読み漁ったビジネス書に掲載されていた東京の駆除業者を何度も訪ねました。あるとき、その駆除業者の方が「そんなに興味があるなら、今度現場においで」と閉店前のデパートの飲食フロアに誘っていただきました。

到着すると営業終わりの飲食店の店長たちが興奮した面持ちで「本当にGがいなくなって感謝しています!!」と彼の元に駆け寄ってきます。これほど感謝される素晴らしい仕事なのだと確信した私は、この仕事で一旗揚げることに決めたのでした。

その後は駆除技術が評価され、紹介で順調にお客様も増えていきましたが、個人事業主時代に達成していた駆除率100%は、事業を拡大し社員を雇用するようになると、80%を下回るように。この数字を100%に近づけるためには、薬剤の種類や技術力だけでなく、社員のモチベーション向上が最も重要なのだと気が付いたのです。

社員のモチベーションを上げる施策といえば、能力給が一般的かもしれませんが、そうすると「いまだけ、自分だけ、お金だけ」のマインドになってしまいます。仲間と一緒に、会社の発展のためにという価値観を醸成するためにも、当社では年齢給と役職手当を導入。ボーナスには査定をつけますが、売上の査定は10%程度で、仕事に対する姿勢の方を重点的に評価します。

また、G駆除会社のイメージを変えるために「日本の建物ベスト100」にも選ばれた綺麗な自社ビルも建設。18年前から会社全額負担で海外旅行も毎年開催し、プロレーサーを目指す若者を社員として招き入れて支援する取り組みも進めてきました。

そしてその一環として決断したこと。それが2021年末の無人島の購入でした。下調べや事前交渉の末、九州地方のとある島を購入しました。無人島なので水道もガスも電気もありませんが、砲台跡や見張り台といった戦争遺跡がたくさんあり、コロナ禍で海外旅行に行けなかった社員のために日帰り旅行を開催し、バーベキューなどをして楽しみました。購入に至るまでのさまざまな交渉は本当に苦労しましたが、結果的には夢とロマンの会社であることを示す1つの証左になったのではないかと思っています。

改革の結果、社員のモチベーションも向上し、取引先の飲食店は全2011店舗中、2001店舗(99.5%)で完全駆除を達成(2025年12月)。この数字は5000社あるといわれるG駆除会社の中で(特に1000店舗以上の年間管理契約をしている事業者の中では)日本一だと自負しています。

同業者の中には、わざと完全に駆除しきらずに追加の工賃で儲けようとする会社もありますが、私は年間保証でGを完全に駆除できるまで追加料金なしで何度でも作業をやり直すことを徹底しています。おかげでリピート率は97.9%。口コミと紹介で顧客が増えていくので、営業もいりません。売上・更新率も向上し、3桁のボーナスを年に2度支給することができるようにもなりました。

2025年からは1年以内に完全駆除できなければ完全返金(業界初)保証も導入しています。G駆除は必要でとても感謝される仕事です。そんな仕事を請け負っている社員たちが周囲に自慢できるような夢ある会社にすべく、これからも邁進していきます。


株式会社クリーンライフ ホームぺージ

著書『営業をしなくても仕事がやってくる G(ゴキブリ)駆除業者の すてきな話』 AMAZON

漫画『時速200kmの世界から、ゴキブリ駆除の日本一へ。「3K仕事を誇り高い仕事に変える」 元レーサー社長の挑戦!』 AMAZON


おすすめの記事